Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


介護士として・・・認知症予防に関して。


100%ボケない人は存在する。

趣味を持てばいいと、講師の人は言った。

脳をトレーニングすればいいと、医者、博士たちは言った。

しかし・・・それらをしていたにも関わらず・・・

ボクの目の前で利用者さんたちは、認知症になっていった。

・・・それとは逆に・・・

無趣味で、脳トレーニングも何もしていなくても、ボケない人はボケていない。

その利用者さんは、驚くことに経済漫画の主人公として描かれ、ヘルパーと一緒に今、生きている事を楽しんでいた。

そのお爺さんは若い頃、脱サラをした事と祖父の財産を使わせてもらって、会社を興した。

妻に支えられて始めた事業だったらしい。

最初は妻のためにがんばっていたが、事業がうまく行って夜の町で遊ぶようになり、家へ帰る事をやめてしまった。

当然と言えば当然だが、妻は離婚届けだけを置いて家を出て行った。

そしてバブル崩壊を体験し、事業は傾き、自己破産を申請して・・・かつ、そのあと働き出した仕事場での事故で半身不随になられ、障害年金と生活保障を受けて「ただ生きるだけ」の人生を

「受け入れた」と、お爺さんは言われている。

ここがとても大切。

自分がどんな状況に置かれようと・・・

それを「受け入れる」なら。

そこからしあわせは始まる。

お爺さんはやってくるヘルパーに妻の姿を重ねてみる

そしてお爺さんが頼む料理は妻に作ってもらっていた好きな料理。

それを食べて、ヘルパーに車椅子を押してもらい散歩をして・・・四季の変化を楽しむ。

ただそれだけの事を続ける事を受け入れた。

受け入れたから「笑顔」、生きる意欲。

そういうモノが湧き上がってくる。

・・・認知症になる瞬間・・・

とは、ある日突然、転倒しただけで、身体が自由に動かなくなり、それを受け入れる事ができない人たちはごく自然に。ごく当たり前に認知症になっていく。

そんな利用者さんをたくさん見てきた。

でも、彼・彼女を責めることなどできない。

受け入れる事ができない気持ちも・・・痛いほどわかるからだ。

それでも・・・どんな絶望的な状況でも・・・

受け入れるなら「天国の門」は開かれる。

マッチ売りの少女がそうだ。

少女はクリスマスの寒い日にマッチ売りにいつものように出かけた。

その日に限って、マッチは売れない。このまま家に帰ったらまた父親に殴られる。

それはもう嫌・・・そして少女は「帰らない」事を決意する。

冬の街だ。

少女には宿に泊まるお金も無い。

誰もマッチは買ってくれない。

他人の家の窓を覗けば・・・おいしそうな料理を食べている家族が目に入る。

そこで少女はマッチを擦り、料理を思い浮かべる。

とてもおいしそうな料理を。

そのイメージはマッチの火と共に消える。

最後に少女は自分を唯一愛してくれたお婆さんを思い出す。

マッチをつければお婆さんが現れる。

消えそうになれば次のマッチを。

何本も何本も。

そして次の日の朝、少女は凍死する。

「この子はあたたまろうとしていたのね」と、少女の死体の前で人々はつぶやく。

無数に散乱したマッチの数を見て。

だが、少女が天国の門を開いて、しあわせの中に死んで行った事を知る人は誰もいない。

天国の門を開いたとしても・・・それが他人の伝わる事は無いかもしれない。

それでも少女が安らかに笑顔で息を引き取った事は偉大なのだ。

最後のマッチを擦った時に、いや、そこで力尽きると分かった時に・・・「ああ、私はここで死ぬ」

そう受け入れた時・・・不思議と笑顔になれる。

きっと少女には聖霊となったお婆さんが見えていた事だろう。

あい




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