ベリルとシャリル5
- カテゴリ:自作小説
- 2016/03/30 22:44:13
ベリルは辺りを見渡す。「どこだここ?どうしてボクはここに?」と、質問をするもシャリルも首を振っている。
「・・・そうだよな。シャリルも分からないよな。どっちから来たのだろう?せめてそれぐらい分かれば」と、ベリルは下を向く。
地面に右という矢印がある。偶然だろうか。
いや、偶然にしてはできすぎている。それがシャリルの力だと分からないベリルではあったが「右か。そうだな、とりあえず右に進んでみるのも有りかな。間違っていれば戻ってくればいいし。とにかく動かないと」と、ベリルはシャリルの手をつかみ歩き出した。
地面に砂利が多いためか、足音が妙に耳障りだ。
それに建物の壊れている風景といい、さっきから誰にも出会わないという事もベリルの気持ちをか細いモノにしていった。それでもシャリルの手から感じる温かみはベリルを勇気づけていた。
緑の頭巾を被っていて、頬に3本爪の傷跡がある男。
赤いフードで頭を隠しているローブを着た魔術師のような者。
顔は骸骨で目の奥には赤い灯だけがある。ネクロマンサーの証である紫のローブを着ている者。
背中に白い翼を持つ有翼人種、上位魔道士以上の力を持つとされる天の使いと呼ばれている者。
青いオーラを放つ、魔法による加護を受けた金の全身鎧を来ていて、手には武器図鑑で伝説の欄に乗っている<End of First>を持つ者。
何でそんな5人組が歩いて来ているのだろう?
ベリルは足を止めた。
殺意?それとも敵意?分からない。
どちらかと言えば殺意だ。ボクたちの稼いだコインを狙って寄ってくる大人たちと同じ殺意・・・怖い。怖いけど気持ち悪くない・・・。
何を言っているんだ。怖くて気持ち悪い事なんてあったか。
痛い。思い出せない。何かとても大切な事なのに。
それも両親に関わる事なのに。思い出せない。
痛い。頭が。あたまがぁあああ。と、ベリルは頭を抱えてしゃがみこんだ。
シャリルは兄の頭に手をかざす。