Nicotto Town


藤宮ひなののんびりブログw


【短編】お疲れ様…温まろうか

「やっと終わった…」

今日は受験の日。
たくさんのライバルにもみくちゃにされて戦いが終わったばかりだ。

「疲れた…」

試験会場に向かう際は、遅れるといけないと言われ、送ってもらったが、帰りは歩いて帰るからと断った。
そのことを今、私は激しく後悔している。

「どうしよう…足に力はいんない…」

会場を出てすぐ、足の力が抜けてしまった。
とても自力で家までたどり着けそうにはない。

「お母さんに…頼むしかないか…」

諦めてスマホをカバンから出そうとしたその時、聞き覚えのある声がした。

「ひなちゃん、お疲れ様」
「あ、真琴さん」

声をかけてくれたのは、神谷 真琴さん。
うちの近所に住んでいる大学生で、私の受験の家庭教師をしてくれた人だ。

「どうして…?」
「ひなちゃんのお母さんに頼まれたんだよ。ひなちゃんは断ったって言ってたけど、受験終わったら絶対疲れてるからって」
「うっ…さすがお母さん…」
「あはは、ほんとだね、じゃあ、行こうか」
「あ、はい」

真琴さんに支えてもらって、試験会場の駐車場にある彼の車までたどり着くと、私に、飲み物の入ったカップを手渡してくれた。

「美味しい…」
「よかった…」

中身はホットチョコレートだった。

「あ、そっか…今日バレンタインだ…ごめんなさい…私…」

今日が2月14であることを改めて思い出し、チョコを用意していなかったことが申し訳なく感じてしまった。

「そんなこと…気にしないでよ、ひなちゃんは受験生だったんだし、僕が渡したかっただけだから」
「え…?」
「日本だと女の子からってイメージが強いけど、好きな人に何か贈りたいっていうのは男も同じだからね…」
「真琴さん…」

彼とは、付き合い始めて数年になる。
とても私を大事にしてくれて、受験勉強も彼のおかげてとてもうまくいった。
私はそれに甘えてしまってばかり。

何か…お返しがしたい…。

「真琴さん…」
「ん?なに…っ!」

私は、彼の顔に近づき、唇を重ねた。

「ひなちゃん…?」
「今は…これくらいしか…お返しできないから…」
「!ありがとう…嬉しいよ…っ」
「んっ…ふっ」

驚いていた彼も、私に優しいキスをくれた…。

それは甘い…チョコの味…。


END




あとがき

こんばんは。

今回は、ユーザーさんからネタ提供頂いた、バレンタイン・逆チョコです。
当日に間に合わずすみません;;
受験も絡めてみました。


感想やリクエストなど伝言板記事にいただけたら、泣いて喜びます。





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