【短編】黒猫と彼女
- カテゴリ:自作小説
- 2018/02/27 00:52:11
「!!昴さん、その猫…」
「この間、店に行ったとき気にしてただろ?」
この日、俺が彼女に見せたのは1匹の黒猫。
以前、彼女と2人でペットショップの前を通りかかったとき、表から見える位置にいた猫である。
その猫を見つめる彼女のきらきらした瞳が忘れられず、数日後、再びその店を訪れ、飼うことに決めた。
本当なら彼女に飼わせてあげたいのだが、身体の不自由な彼女にはなかなかに難しい。
なので基本的には俺が飼うことにして、彼女の家に行くたびに連れていくことにしたのだ。
「ほら、膝の上に乗せてやるから」
「可愛い~!!名前はもう決めちゃいました?」
「ああ、一応な 。『くー』だよ」
「くーちゃんかー、よろしくねー!」
「あ、ちなみにそいつ、オスな」
「あ、そうなんですね!よろしくね!くーくん!」
そういって、彼女が嬉しそうに猫と戯れる姿は本当に可愛い。
くーは本当に大人しい猫で、特に手がかかることもなかった。
最初は彼女も、不自由な手で触るとくーが嫌がるのではないかと気にしていたのだが、くーの方から彼女にすり寄っていったことで、今ではベットの上でじゃれあっている。
それにしても…。
「ひゃっ…もう、くーくん~、くすぐったいよ~!!」
「にゃ~」
「ふふっ…あははっ」
はじめはベッドの上に座っていた彼女だったが、くーとじゃれあううちに仰向けの体制に寝転がり、その上からくーが彼女の顔を舐めている。
普通に見ればとても可愛らしい光景なのだが、オスということをしているせいか、わずかな嫉妬心が沸き上がる。
「やばいな…このままだと…」
「?昴さん?どうしました?」
「あ、いや…俺、夕食の用意してくるな」
「え、じゃあ私も…」
「いいって、お前はくーと遊んでやってくれ」
「あ、はい」
もっともらしい理由を付けて、俺はキッチンへと逃げた。
料理をしていて、少し落ち着いてきたと思っていると、後ろでくーの鳴き声がした。
「ん?どうした?飯ならもうすぐだぞ?」
「にゃ~、にゃ~」
何やら彼女のベッドの方を見ながら、鳴き声を上げたかと思うと、ついて来いというような様子で、ベッドへと歩き出した。
「くーくん…昴さん…むにゃっ…」
「なるほどな…」
ベッドへとたどり着くと、遊び疲れた子供のように、彼女がすやすやと寝息を立てていた。
起こすのも可愛そうかと思い、とりあえず布団をかけてやり、そのそばでくーに餌をやることにした。
「教えてくれてサンキューな、これからは一緒にあいつを守っていこうな」
「にゃー」
「お、いい返事だ、よろしくな」
まるで理解しているかのような鳴き声に、思わず笑ってしまう。
ライバルになるかと思ったが、俺にとってこいつは、一緒に彼女を守る相棒なのかもしれない。
END
あとがき
お久しぶりです。
久しぶりの投稿です。
やばいです文章力の低下が著しいです><
落ちに無理やり感があるのは許してください><