基本情報 ↑ 名前ラズィーズ　魔力･幻惑　専攻･薬学　弓使い　女性型のくせに、女性型悪魔にモテるらしい (￣～￣lll)


注意･この物語はフィクションです。
登場する人物･事柄は全てARCHMASTERです。
また、悪魔の階級、魔界の設定等、全てこの物語の中だけのものです。
ご了承くださいませ。


【ワルドの独り言、再び】

未来がハッキリ見えていたわけじゃない。
トモダチに危険な未来が待っているかもしれない、と思うだけで、集中しきれなかった。
怖くて、見ることを避けたと言ってもいい。
しっかりとレベルアップしているはずなのに、私も… まだ修行が足りない。

だが、ひとつだけ気になる映像が、頭のなかを過ぎっていた。 死者の森だ…。

ラズが帰って来ない、とロワゾーに聞かされた時、たぶん死者の森だろうと、真っ先に思った。
居場所が解っているなら、寮にいながら死者の森を見渡すくらい造作もない。

ラズ、いる、間違いなく死者の森に…。

ロワゾーの腕を強引につかんで、翼を広げ窓から飛び出した。
事情は道々説明する、とにかくついて来い。私の剣幕に押されたかロワゾーは無言でうなずいた。


◆ トラブルメーカー 第五話 ◆◆◆

地面から舞い上がった無数のつぶては、まばゆい光を放ちながらゾンビを巻き込み、
やがて螺旋状に交差して三体のゾンビを一気に消し去った。
地面に落ちてくるつぶてを避けながら同時にゾンビ達からも離れ、
足元を見やると、氷かと思ったそれは、雹 （ひょう） に近いものに見える。
それも一塊 直径 50mm はあろうかという巨大かつ非常識な…。

こんなのが当たったら… 痛い、では済まない。死ぬわっ！
いったい誰がこんな… と周囲を見渡すと、ワルドとロワゾーの姿が見えた。

ロワゾーは早くも剣を抜き上空から降りるついでとばかりに、ゾンビ一体を兜割りにする。
その距離感たるやまた絶妙で、近くもなく遠くもなく、
落下速度と自分の体重を最大限に生かせる間合いと角度を、冷静に計算しているかのようだった。

ワルドはと言えば、再び雪の魔力を使い、限りなく氷に近い巨大なつぶてを舞いあげる。
ナーシャ様が水の魔力をもちいて使う水の柱にも少し似ているが…。
水の柱以上に輝きを放つ無数のつぶてを目くらまし効果に使い、ゾンビ残り二体の動きを止める。

まさかワルドのヤツ、一粒一粒の光の屈折と分散まで全て計算してやっているんじゃないよな…。
いやいや… まさかそこまでは… そんなことが出来るハズもないよね… と思いつつも多少の悔しさを込めて、
ワルド、ナーシャ様よりも勢いが軽いぞ！ と軽口を叩くと、

「あんなバケモノといっしょにしないで。私は正真正銘フツーの悪魔だ」

魔力を使いながらもテンション高めなのか、ワルドも軽快な口調で返してくる。
動きを止めたゾンビは、ロワゾーに残らず瞬殺され、跡形もなく消し飛んだ。

ホッと一息ついて… で、どうしてここに !? と聞く私に、
ロワゾーが、マダム･ラガーフェルドに事情を説明して助言を仰ぎ、ワルドが目を開いて探したと、
とびきり苦い顔で告げる。

「借りを作ったようで、気分が悪いな」
「そうね…」 と、ワルドも目を伏せる。

心配ないよ、そんなに大きな借りじゃない。
マダムのことだから、誰が、どれほどの器か図って楽しんだ… その程度のものだろう。
きっとご満足頂けたはず。せいぜい名前を覚えておく程度で充分だ。

そう言うと、ロワゾーとワルドは互いに顔を見合わせて、呆れたような口調で言う。

「あんたが それほど したたかだとは知らなかったよ」
「ホントよね、ラズのくせに」

聞き捨てならない台詞に あ゛ !? と振り向くと、帰るよとロワゾー、ワルドが翼を広げ、
待ってよと慌てて追いかけようとしたが、
緊張が解けたせいか身体からイッキにチカラが抜け、そのまま座り込んだら動けなくなった。

心配かけてごめんね。助けてくれて、ありがとう。


… その後のことは、よく覚えていない。

寮に帰り着いてマダム･ダヴリューらを引き渡し、治療を受け、教授方に事情を説明し、
刑務庁にも同じ説明を何度も繰り返し、ベッドに倒れ込んだら、そのまま延々、三日も眠っていた。
… というか、回復のためにシュラが眠りの魔力をかけてくれたらしい。

気づくと、いちばん事情を解っていないのが、当事者の私だった。

マダム･ダヴリューの相手は、マダムの幼馴染みで、刑務庁から追われる罪人だったという。
ご夫君の経営が傾いたのを機に、手に手を取って逃げる算段をしていたようだ。
いっしょに行動しているはずの私がマダムと共にいなくなれば、
幼馴染みの存在を隠せると思ったらしい。

なんて ずさんな計画だ。そしてハタ迷惑な…。

マダムらの供述と、ご夫君の経営状態などが全て合致し、私が完璧な被害者で、
しかも眠り込んでいたために、反省室行きは免れたらしい…。
すべては後から （しかも！ すっかり終わったのちに） 聞かされた話だ。

明日はマダム･ラガーフェルドから 『お礼に来い』 と呼ばれている。
しかも、助かったお祝いに、王室御用達菓子司の新作スペシャルパフェをおごってくれると言う。
ふたつ返事でオッケーし、今日はじっくり❤ 細胞ちゃんを観察しようと研究室に向かった。

今回は経過記録をキチンと取れなかったから、どちらにしても最初からやり直して、
細胞ちゃんの育つところをしっかり見てあげなきゃ、とワクワクしながらシャーレをのぞいたら。
… ウチの細胞ちゃんは死滅していた。

うわぁーーーーーん ｡（o☯ _ ☯o）｡ぅるぅる゜・。。

～ Fin ～


( ￣▽￣)ノ” ｡(o☯ _ ☯o)｡ ヾ(￣ヘ￣ ) ﾖｼﾖｼ
私は完全文系です。ラズがどんなメンドーな細胞を増殖し、何をしようとしていたかなんて、
突っ込まれても、ゼッタイにお答え出来ませんｗ 悪しからず。

本編はこれで完結。来週 （5/28） は、本編後の … 視点のエピローグです。もう事件は起きませんｗ


この話のベースになったもの、実は ↓ コレでした。

　　　精霊は語りき　　← 診断メーカー運命予言詩。
　　　汝、地下の子、心惑わす者よ　　← おお、これは、ラズィーズだ！
　　　忘れられし森の深奥にて　　← 悪魔シリーズ最初の戦いの舞台は死者の森よねー (*￣ー￣) ﾆﾔﾘｯ
　　　さまよえる騎士と争うがそのさだめ　　← やったっ ゾンビだゾンビだ❤ （←え !?
　　　心せよ、蝶に　　← 蝶と言えば、古今東西、死の暗示… オッケーｗ

… で、出来たのが、この話、トラブルメーカー (((o≧▽≦)ノ彡 こじつけ気味ではあるけれどｗ
ロワ様、あなたのおかげですｗｗｗ
最も コレ ↑ を ここまで ふくらませるのは、思った以上に難儀でしたが (*´-ω-｀)・・・
この 「運命予言詩」 が、どうしてマダムのエスコートやら 研究費稼ぎ という奇妙な展開になるんだ…
とか、そのへんも突っ込まないよう お願い致しまする （← きっと説明できないｗ

いろいろと遊ばせて頂きました (｡- 人 -｡) ありがとうございます。


◆ 悪魔シリーズ著作者・ゆうなさんの本編と今までのシリーズ （目次）
https://goo.gl/sGPglp
◆ ARCHMASTER のみなさまが執筆、現在連載中の外伝シリーズ （目次）
https://goo.gl/dikvCf

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