ノワール･結
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フェーレース事件　ルイ
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フェーレース誘拐事件　カズール.5
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この話は、上記の後日… となります。





フェ―レース誘拐および人身売買事件の主犯カニャールと共犯ビエラー、その他雑魚どもが逮捕、
思考機関エンマのもとに集められた証拠もまとめて提出され、
ロイヤルトレインは 〝フェ―レースに大きな恩を売ったらしい〟 という話が聞こえてくる頃。

カズールはようやく本来の姿に戻り、小柄なノワールを膝の上で抱きしめていた。
ノワールが準備したフェ―レースの隠れ家で。

「カズール、いったいどうしたのにゃ ?!」

抱きしめたまま、ノワールの肩に額をのせてため息をついたり、頭を撫でまわしてみたり、
挙動不審この上ないカズールに、ノワールは声をかけるが、返答はない。
その代わり、抱きしめる手に少し力を込もった。

「まるで抱きまくらになった気分にゃ…」

そんなノワールの困惑に、その光景を隣で眺めながらティータイムを楽しんでいたルイ捜査官が、
ふふふと笑い声をもらし、口を開く。

「自分で情報を集められず、ロジェ・ド・シャブランに助けられた」

カズールの身体がピクリと動く。

「鰐江隊長に仕掛けた体術が、かすりもしなかった」

カズールの額が再びノアールの肩に落ちる。それでノワールにも察しがついた。

「要するに落ち込んでいるんだね」
「そうそう。放っておいてもいいけど、ちょっと鬱陶しいね」
「ルイルイも言うね～ｗｗｗ」

そんな二人の会話を耳にしながら、それだけじゃないんだけどね… と声には出さず反論する。
そうしてカズールは、再びため息をついた。

観光客として惑星フェ―レースに送り込まれ、女装までさせられ、事件解決まで奔走し、
5日間の特別休暇を与えられた、その休暇初日…。

ようやくロイヤルトレインに帰れる嬉しさを感じつつ、
滅多に来られない観光惑星フェ―レースを謳歌しようと心積もりをしていたカズールは、
思考機関エンマに緊急転送された。

転送された先は、総帥の執務室の１つ。この時点でもう、悪い予感しかしない。
カズールは心にガッチリ耳栓をして総帥の言葉を待った。

「オマエの次の行き先は、惑星アビロだ」

キッチリ調べてこい、と指令書を渡される。
すでに調査が進んでいるのか、受け取った指令書は思いのほか分厚く、そして重い。
驚いて総帥の顔を見ると、底意地の悪さを滲ませた鋭利な美貌が笑っていた。

いつもながら怖い笑顔だ…。
そんな感想を飲み込み、了解しました、と簡潔に受けると、総帥は当然だという顔をする。
その場で再び、フェ―レースへ緊急転送された。

行きたくね～～～。

そう叫べるものなら、叫びたい。
そんなカズールをよそに、ルイとノワールの会話は楽しそうに弾んでいた。

　　+　+　+

惑星アビロの貴族・カラート侯爵位は、デズモンド・カラート前侯爵亡き後、
デズモンドとアレクシスの長姉の娘が継いだ。

ドゥルーシラ・カラート、御年14歳。
人形のように愛らしく、儚げな容姿を持つカラート女侯爵は、瞬く間に社交界を席捲する。

その一方で、デズモンド・カラート前侯爵の負の遺産である、
海賊とのつながりをも受け継ごうとしている… そんな気配が随所に見え隠れしていた。

宇宙経済の重要惑星の１つとされる惑星アビロは、
その主要駅はもちろん、軌道上においても、ロイヤルトレインとの関りは深い。
カラート女侯爵が本当に 〝ロイトにとって悪〟 ならば、
その芽は早いうちに摘み取っておくのが肝要だと、総帥の指令書は要約するとそう言っている。

結局、休暇初日は指令書とともに渡された資料を読み込むだけで終わってしまった。
まったく休暇になっていない。

しかも今度は、カラート女侯爵の護衛というポジションで送り込まれるらしい。
お貴族様の側で堅苦しい宮仕えしながらの調査。

行きたくね～～～。

心の中で何度叫んだかしれない言葉を、カズールは再び心の中で叫んでいた。

「じゃあ行こうか」
「だね。ほらカズールも。行くよ～」

ふたつの声が飛び交い、ノワールが膝から立ち上がる。
その軽くなった膝に今の状況を思い出し、カズールはようやく顔を上げた。
行くって… どこに ?!

「まずはフェ―レース城を見学したり庭園を散策したり」
「それからお土産を買ったり～ご飯を食べたり～ナイトスポットをのぞいたり」
「まるで観光みたいだ」
「当たり前でしょう。私ら観光客だよ」

そう言って、ルイ捜査官が笑う。
そういえば最初から、表向きには観光客だった。

「あと4日。遊ぶのが使命にゃ」

ノワールも笑う。

ルイ捜査官に開けられたドアから、真昼の陽射しが差し込み、部屋を明るく染める。
まぶしく目がくらむほどに強い光だった。
そうか、まだ4日あるのか…。カズールは口のなかでつぶやいた。

「さあ、行くよ」
「早くするにゃ～」

笑顔のルイ捜査官とノワールに両の腕を引かれ、カズールも笑う。
そうしてまぶしいほどの光に、足を踏み出した。

Fin



ルイ捜査官　エメラルド氏
ノワール　❦みぃ❦氏
総帥　クリスタル氏
カズール　和.com



ARCHMASTER Presents　壮大な電車ごっこ　〜2018年6月まで

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ロイトで遊ぼう♪ 企画　外部サイト
https://jackthenikotto.wixsite.com/royal-train

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私が書くカズールの物語は、これですべて終了です。
カズールの不幸は、たぶん、まだ続くでしょうけど、ひとまず影ではなく光で〆てみましたｗ

ARCHMASTER Presents　壮大な電車ごっこ　本日が最終日。
たっぷり遊ばせて頂きました。
みなさま、ありがとうございました。


ちなみにお部屋画像にはたいした意味はありません (*ﾉωﾉ)
輝くガラスの薔薇フレームを使いたかったのと、
カラート女侯爵ドゥルーシラは、こんな感じかなぁ…と、立たせてみただけでした。
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