Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


アムステルダム国立美術館にて


 アムステルダム三日目は、いよいよ国立博物館に、
レンブラントやフェルメールを見に行きます。

 前日と同じように6時半にはシャワーを浴びて、
出かける用意をして、7時からのんびりとした朝食。
そして、8時半に出発。トラムに15分ほど乗って、
国立博物館に到着。
ここは入場の時間指定はありませんが、
チケットはインターネットで事前に購入できます。

 開館前の入口に5分ほど並んで入場。
クロークにコートとリュックサックを預けて、
オーディオ・ガイドを借ります。
日本語ガイドがありますし、
前日のヴァン・ゴッホ美術館でも、
オーディオガイドの重要さを痛感したので、
ここは5ユーロを払って借ります。

 ちなみに、国立博物館のアプリをダウンロードし、
国立博物館のWIFIにつなぐことで、
オーディオガイドを聞くこともできます。
こうすれば無料でオーディオガイドを利用できるのですが、
しかし、お金を出しても館内のオーディオガイドを借りた方が、
私には都合がよかったのです。なぜかと言えば…。

 この博物館は、日本の上野にある国立博物館と同様、
オランダの重要な美術品を網羅した博物館なのですが、
それだけに一つ一つの展示物を眺め、オーディオガイドがある展示物では、
その説明をちゃんと聞いていると、絶対に一日では廻りきれません。

 この博物館は4階建てなのですが、
2階の半分と3階を見たところで時間切れ。
つまり、朝9時の開館から夕方の5時の閉館までいても、
オーディオガイドの説明を確認しながら廻っていると、
すべてを見て回ることはできないのです。
結局、1階と4階は廻りきれませんでした。
ですから、オーディオガイドも途中でバッテリー切れになってしまうのです。
そして、そのたびに、オーディオガイドの貸し出しのところに戻って、
器材を交換しなければなりませんでした。
ですから、スマホで、オーディオガイドのアプリをダウンロードしても、
私のような鑑賞者は、すぐにバッテリー切れになってしまうと思います。

 もちろん、団体の日本人観光客もいたのですが、
彼らの行動を見ていると、絵画の前で写真を撮って移動しているだけ。
そんなことをして、いったい何がおもしろいんだろう?

 あっ、ちなみにこの博物館では、
フラッシュを焚かなければ、写真撮影OKです。

 この博物館のすばらしいところは、
オランダが、徐々にオランダという国の形を生みだし始めた
1100年代から展示が始まっていることです。

 その後、ユトレヒト同盟によって、
スペインのハクスブルク家の支配から独立し、
東インド会社の設立によって、海洋商業国家として繁栄していくのですが、
しかし、三度に渡る英蘭戦争の敗北によって、
貿易上の覇権をイギリスに奪われ、
フランスのナポレオンによって征服されたりします。

 ですが、インドネシアの植民地や、
長崎の出島を通じての交易などによって、市民階級を中心に繁栄が続き、
この繁栄が数々の美術品を生み出す背景でもあったことがわかる構成になっています。

 同時に、東インド会社が植民地において行った残虐な行為なども、
余さず展示ししています。

 そのような背景を知った上で、
3階中央にあるフェルメールやレンブラントなどの作品が展示されている、
この博物館のメインホールに辿り着く構成になっていて、すばらしい! 

 そして、まずフェルメール。
この博物館には、フェルメールの作品が4点展示されていて、
その内の「牛乳を注ぐ女」は現在東京にいます。
これは、東京で見たので、残りの3点を見ることができました。
ちなみに、大阪のフェルメール展では、
「牛乳を注ぐ女」の代わりに「恋文」が展示されます。

 さすがにこのホールは人が一番多いのですが、
それでもゆったりと鑑賞できます。
日本のように、皆が首を伸ばして絵を覗き込み、
立ち止まらないように促されるようなことはありません。
そして、この環境で、絵画を観察してみると、
絵画にはまったく門外漢の私でも、いくつかの発見がありました。

 フェルメールの絵は、室内にひっそりと飾る絵なのです。
その点で言えば、風景画や静物画と同じような位置づけであり、
宗教画や神話の場面を描いた絵画、
あるいは歴史的場面や英雄たちの姿を記録し、讃えるために描かれた絵画、
つまり、何かを讃え、そのために豪華絢爛に装飾を施すことを
目的とした絵画とは、明らかに性格が異なります。

 そして、レンブラント。
この博物館では、レンブラントを展示している部屋が二箇所あって、
一箇所は、レンブラントの自画像などがあり、
そこではレンブラントの画家としての特徴や技法に
焦点が絞られているように思われました。

 メインホールに展示されている「夜警」を初めとした巨大な集団肖像画は、
レンブラントが集団肖像画を単なる人物記録像としてではなく、
彼らの市井での姿をそのまま写し取ったかのような、
動きのあるものに変化させたことだけでなく、
レンブラントの絵が生まれる背景として、
ブルジョワジーたちの活発な活動があったことがわかる構成になっています。

 だからこそ、ブルジョワジーたちは、自らのホールに飾る絵として、
集団肖像画をレンブラントをはじめとした画家たちに発注したのでした。

 この博物館は、堪能できますね。
博物館ガイド(日本語版)とポストカード何点かを買って帰りました。

 さすがにこの日は疲れたので、宿に帰って、
買ってきた御飯を食べて、すぐに寝ました。




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