Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


カーニバルの最高潮「薔薇の月曜日」


いやぁぁぁぁ~~
カーニバル、おそるべし。
体験してきましたよ、デュッセルドルフのカーニバル。

「薔薇の月曜日」。
カーニバルにおいて最高潮を迎える日。
なのに、その日の未明は、なんと暴風雨。
ドイツでは、ザーザー降る雨はめずらしいのですが、
夜中に雨が窓を叩き、風がうなり声をあげていました。

ゲーテとかシラーといった、
18世紀末のドイツ文学を代表する作家たちの文学運動を、

  「疾風怒濤」
  Der Sturm und Drang 

と言いますが、
これ、直訳すると、嵐と衝動。
その嵐が直撃したのですよ。

その結果、午前中は台風…、とは言わなくても、
立木が倒れても、おかしくないような強風。
そして時折、斜めに叩きつける雨。

それでも出かけましたよ、私は。
11時30分には、
パレードが行われるケーニヒス・アレーに到着していました。

しかし、この嵐によって、
街路樹の枝は、折れて地上に散らばり、
ゴミ捨てのコンテナは、ひっくり返っています。

そして、時折、勢いよく降り出す雨と強風。
傘がおちょこになっている人もいます。
仕方がないので、パレードが始まるまで、
ビルの庇があるところで、雨宿り。

ちなみに、アーケードになっているビルには、
入口に仮設の衝立が設置されていて、
アーケードの中に入れないようになっていました。

雨であろうと晴れていようと、
カーニバルの当日は、大勢の人がアーケードの中でたむろして、
大量のゴミや落書きを残していくからでしょう。
すでに、この衝立にも落書きがいたるところに…。

1時過ぎになって、ようやく天気が安定してきて、
路上にも大勢の人が集まり始めました。
私も雨宿りを止めて、最前列に陣取ります。

警察車両と白バイ…
ドイツの場合は、銀色と青色バイクを先頭に
パレードがスタート。
バイクに跨がったお巡りさんも、
観客に向かって、「ヘラウ!」。

デュッセルドルフのカーニバルは、
各団体毎に趣向を凝らした山車が出て、
その前後を、お揃いのコスチュームを着た人たちがパレードします。

そこはブラジルのカーニバルと変わりはないのですが、
ブラジルのカーニバルが、チーム毎に踊りや衣装、
そして山車のデコレーションを競うコンテストであるのに対して、
デュッセルドルフは、コンテストは行わないのですが、
山車のいくつかは、痛烈な世相批判を行っています。

今年の山車には、
 ・職権乱用に対する情け容赦のない処理 
    →  カソリック教皇

 ・人殺しと彼の守護者 
    → サウジアラビアのサルマン王子と彼を擁護するトランプ大統領

 ・人種差別的でナショナリズム的な政党 Alternativ für Deutschland から
  「のぞき魔!」と非難されているドイツ連邦憲法擁護庁
              つまり、ドイツ連邦憲法擁護庁が、
    AfDを極右政党ではないかと監視していることを表現したもの。

 ・排外主義やユーロ離脱を主張するイタリアの政党「同盟」
  その書記長サルビニの乳を吸って育つ人種差別主義とナショナリズム

 ・キリスト教民主同盟とドイツ社会民主党によるドイツの連立政権の不仲

 ・両親と年長の世代に向かって、気候変動による災害の頻発に対して、
  「いったいどうするつもりなの」と迫っている子ども

 ・自由を抑圧するポーランドの政党「法と正義」を牛耳っている
  政治家カチンスキー

 ・中距離核戦力全廃条約(INF)を破棄しようとする
  ロシアのプーチン大統領とアメリカのトランプ大統領

 ・ゲッペルスに担ぎ上げられている、子どもの姿をしたAfDの政治家ホッケ。

 ・ブレグジットでイギリス経済を殺そうとしているイギリスのメイ首相

 ・ディーゼル車の運転手の首を絞める
  環境保護団体、ドイツ政府、自動車メーカー

こんな具合に、痛烈な政治風刺が、山車の巨大人形で表現されます。

もう一つのデュッセルドルフのカーニバルの特徴。
それは、大量のお菓子が、山車の上から、
あるいは、パレードする人々から沿道にばらまかれることです。

その量たるや半端じゃありません。
一つの団体で、数百キロ以上、
なかには、1トン近くばらまいている団体もありそうです。

それが60団体ぐらい参加しますから、
お菓子を拾い集めるために持参した布の買い物袋が一杯になります。
私は写真を撮るのに忙しかったので、
それほど熱心にお菓子を拾い集めていなかったのですが、
それでも家に帰る頃になると、
袋がずっしりと重い。

小袋に入ったグミに飴、チョコにガムにラムネ。
ポップコーンやカールのようなお菓子の小袋。
そして、小さな花束やゴムボールやお肌用クリームの小袋。
果ては、ティシュペーパーやスポンジ、買い物袋まで、降ってきます。

そう、手渡されるのではなく、
ばら撒き、見ている人々の上に降ってくるのです。

カメラを構えていると、受け取る態勢がとれませんから、
頭やカメラにお菓子が当たって、痛い痛い。
家に帰って、コートを脱いだら、
フードから、お菓子が何個も転がり落ちてくる。

そんな感じですから、
相当数のお菓子が拾われないまま、踏みつけられ、
しかも、今日は午前中まで、かなりの雨が降っていたので、
水に濡れてしまうことで、そのままゴミになっていくのです。

もったいない! なんという無駄!

私がいたケーニヒス・アレーという大通りに
最初の山車が到着したのが、2時頃。
そして、最後の山車が通過したのが、5時頃。
その山車は、旧市街の市庁舎前を通って、
またケーニヒス・アレーに戻ってきますが、
その最後の山車が通過したのが、6時頃。

その間、延々4時間近くの間、
お菓子の雨が降り続けるのですから、
ゴミになる量も半端じゃありません。

それ以外にも、屋台から出る大量のゴミ。
ビールなどの飲み物を持参した人が、道ばたにおいていく大量のビンや缶。
それがまた割れて、ガラスの破片が、
道路の至る所でジャラジャラしている。

パレードが終わって、旧市街の方へ歩いて行けば、
またもや入口では、危険物を持ち込んでいないか検問が行われていて、
旧市街に入ってみれば、そこは、パレード終了後のらんちき騒ぎ。

大勢の若者たちが集まって、密集して騒ぎ、
スピーカーから流れる大音量と共に踊っています。
カーニバル初日と同じように通り抜けることができません。

カメラを持っている私なんか、危ない。
カメラをリュックサックにしまい、
なるべく警察や消防隊の近くを歩いていましたが、

旧市街の至るところで喧嘩騒ぎが起こり、
急性アル中で倒れている若者をそこかしこに見かけ、
その度に警察や救急隊が走りより、
救急車が到着して、運ばれていく。

この夜、かなりの若者が
急性アルコール中毒で命を落としたのではないでしょうか。
日本の一気飲みの比ではありません。

パレードでのお菓子のバラマキ方なんて、
このカオス状態から比べれば、カワイイもの、
むしろ礼儀正しい大人たちのカーニバルと思えてしまうほどです。

続く~。




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