（変人が増えやがった）

主・キズィローヴァが客と連れ立って館に戻ってきた時、
そして、主と茨木と名乗った客との出会いを、とうとうと聞かされた時、
専属料理人・光光は心のなかで、ひそかに思った。

我が主はまごうことなく変人である。主の周りにいる魔のものたちも…。
そうして、この新たなる客・茨木もまた、主とはその方向性がやや異なるものの、
複雑なひねりの利いた変人に見える。

（変にもバリエ―ションがあるんだな……）

己れのことを棚のさらに上へと押しやり、光光は口の中でつぶやいた。



まだ出逢ったばかり、互いに知れぬ間柄。よって、まずは軽く酒肴の準備を。
それが、主の命である。さ～て何を作るかな。

「テリーヌがそろそろ頃合いですよぉ。ゼンゼン軽くないっすけど」

使い魔のひとりが差し出したのは、比内地鶏を開いて挽肉と玉葱、ピスタチオを巻き込み、
小ぶりの型に嵌め込んで加熱し、寝かせておいたものである。

ふむ。と光光は考え事をするかのように天空を見上げた。
熟成したワインを注ぎ流したような赤の月が、美しくもあざやかに君臨している。
それがもたらすのは、血がたぎるような高揚感と、刻を凍らせたような静寂。……ならば。

「よし、間をとって無難なものでいこう」

なぜ間？ なぜ無難？ という疑問を、使い魔は賢明にも口にしなかった。



まず一品目、
比内地鶏の一枚肉と挽肉の両方を使いピスタチオを入れたテリーヌ。
その横にバニラのアイスクリームを添え、熱々のオレンジソースをかけた。

二品目は、焼きアスパラと焼きブロッコリー、ジェノベーゼソース。
これは、焦げも香ばしい旬の野菜を主役に、
ローストした胡桃と松の実、バジル、削りチーズ等をミキサーにかけて作ったソースで仕上げた。
緑三色のグラデーションが美しい一品である。

そして三品目は、三種ベリーとクリームチーズのギモーヴ。
メレンゲを使わずベリーのピュレとゼラチンを泡立て、それにクリームチーズを加えて作った、
言わばフランス版のマシュマロである。
マシュマロよりも果実味が強く、やや口どけが早いのが特徴だ。
それに生のベリ―をあしらいとして盛り合わせた。

その三品を別々の皿に少量つづ盛り付け、光光はキズィのメイド・魔ジェルを呼ぶ。
魔ジェルは料理を見てきょとんとした表情を見せた後「これ無難？」と可愛らしくも小首をかしげた。
それを思いっきりスルーして光光は、

 「変人っぽいから！ 気をつけるんだよ。あまり近づき過ぎないようにね」

こっそり注意を促し、料理を魔ジェルに任せる。
そうして自分は白いタキシード姿で、冷えた辛めのシェリーを手に取った。

「ようこそおいでくださいました。ルシオール家の味わい、どうぞご賞味ください」





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いとも優雅な料理人　公式サイト？
https://syourandouzi.wixsite.com/itomo-ryourinin
作成：藍色さん／美術：エメラルドさん


　　茨木露伴 （本日の客人・茨木家当主にして城主）　ロワゾーさん
　　　　https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1104605&aid=68166445

　　キズィローヴァ （薔薇の館に住まう悩める主）　エメラルドさん
　　ジェルソミーナ（魔ジェルとも呼ばれるキズィ館のメイド）　ネコ衛門さん

　　光光 （回を重ねるごとに優雅から遠ざかるキズィの専属料理人）　和.com
　　　　死神社会から逸脱してキズィ館に棲みついた、はぐれ死神。
　　　　繊細な料理の前には必ず、デスサイズを振るうが如く、調理ナイフを振るいます。 ← 準備運動ｗ
　　　　切断面が美しくないと、しばらく機嫌が悪いです。





主にして魔界公爵、キズィローヴァ・ルシオール。
そういえば最初に『我が料理人は白タキシードで麗しく料理をする』とか無茶振りされたなー (￣～￣lll)
というのを思い出し、せっかくだから白タキシードを着せてみた。
白タキシードで料理。非現実的で、私好みと言えなくもないし、その命がすごくキズィっぽいｗ





【余談】

なぜ私が光光コーデから薔薇とカボチャを外せないか？
それはコイツの髪が、怖ろしいほどのボリュームを持っているからだ (*´-ω-｀)・・・

この髪は共用品で男アバにも着用可能なため、女性用よりも若干、頭が大きく見える（これは仕方ない）。
…その上に、こんな広がりのある、高さもあるエクステ重ね！
足元アイテムを外そうものなら、上が重く下が軽く、許容しかねるバランスになるんである (-＂-怒)

なんで私、こんな髪型にしたんだ！！！
そのうちバッサリ切ってやる！ とたまに本気で思う。

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