【護神】 書き遊び：日向
- カテゴリ：自作小説
- 2021/04/23 23:12:01
注意：日向にしか聞こえない護神のセリフは『 』、みんなに聞こえている時は「 」と分けてます。よろしぅ。
◆
『なにやら騒がしい。待機は終わりかもしれぬ』
23時、異境特務機関の夜間待機室。
ソファに座り、上質の拭い紙を使って愛用するナイフの手入れをしていた九曜日向に声を掛けたのは、彼の目の前でふよふよと浮いていた護神・詞名（ジーナ）だ。
すぐ側にいた椿絢爛も、誰かが近づいてくる気配を感じたか、ふいに顔を上げる。
「ハデに警報を鳴らすほどではないようだな。軽めのほつれか？」
「最近さ～ちょーっと退屈してたんだよねー。暴れられると嬉しいけどな～」
「ほざけ、戦闘狂」
性格の悪いヤツ、気の合わないヤツなら、戦闘狂の後に〝たいした能力も持たないくせに〟と悪態をついて来るところだろうが、椿はそんな余計なことは言わなかった。
ほどなく夜間待機室のドアが開く。姿を現したのは、司令・羽鳥軽の副官を務めることも多い白洲霞潭。司令と共に要人との会談にでも出向いたのか、軍服ではなく珍しく正礼装だ。
「封印にほころびが見え、怪が姿を現した。封印部隊を送る。藕糸を通じて移動許可は既に下りている。椿と日向は先行、怪を間引いて後、封印部隊を護衛」
「「はっ」」
了承する以外が許されていないのだから、命じられる側の返事なんて大して意味がないよな～と日向がひそかに思ったところで、詞名（ジーナ）の少し浮かれた声が届く。
『様式美も良いものよな～～～』
お前が言うか！ 日向は心の内で突っ込んだ。
……日向の護神・詞名（ジーナ）は古詩の化身で、遠い昔に詩を詠んだ故人の思いから生じたという。古詩は古体詩とも言い、形式などに縛られた近体詩と対立する、自由度の高い古代中国の詩体。そのせいか詞名（ジーナ）は、とかく制約や既成概念などを嫌う。それは詞名（ジーナ）の見目や趣味嗜好にも表れていた。
それが、様式美だぁ？ うさんくさそうな日向の表情を読んだか。詞名（ジーナ）はなぜか得意げに、
『極々たまに…であれば目新しくも好ましくも見えるであろう？』
あ～そーかぃ。
「相変わらず鳥肌が立つような空気だな」
椿が眉をしかめる。
ほころびからあふれ出る不快な気で、暗渠が発生した場所はいつも淀んでおり、人間にとっては有毒だ。異境特務のメンバーは少なからず抵抗力を持っていたが、それでも不快感や嫌悪感は無くならない。鳥肌程度で済むなら、椿の抵抗力は高いのかもしれない。
日向は、だが飄々とした態度を崩さず、軽く声を掛けた。
「じゃぁ行こっか。…ジーナ」
【速】
詞名（ジーナ）の口から奇妙な音がもれる。
人間には理解することのできない発音なのだと彼女は言うが、それでも聞き取れなければ、どんな支援がかけられたか解らない。
最初のは、行動速度を高める言。
【翻】
次のは回避率を上げる言。日向は必死になって、意味の解らない言の違いを聞き分け記憶した。それでもまだ間違うことはある。
「どっちだ？」
周囲を見渡していた椿が日向に問う。隣に紫檀（したん）の姿が見えた。
「南、およそ300メートル」
「…… あぁ聞くまでもなかったな、お出迎えだ」
南の方角に、怪が現れる。先頭は単数、後ろにいくごとに複数の塊が大きくなり、こちらに向かってきていた。塊といっても怪は連携を取るようなことはしない。それでも、想像していたより…
「数がいるな」
弾んだ声で言って日向は、足先で軽く地を蹴る。詞名（ジーナ）の力による支援を受けた日向のスピードは、人のそれを超えていた。
先頭の怪、その左横を駆け抜けざまに右手のナイフでわき腹に一刀。肋骨の下ギリギリを狙って切り裂いた。返り血は、そのまま駆け抜けることでしのいで、そのまま中央より左側にいる怪の集団に切り込む。
日向の武器は基本、ナイフと鎖。目の前に迫る怪にナイフをくれてやり、反対側の少し離れた怪には、左手に持つ鎖につながれたクナイのような両刃のナイフを飛ばし、首に巻き付けて引き倒した。
そのまま小気味よく身をひるがえし、鎖に絡めた怪を怪にぶつけて振り回す。右手側から来た怪には手に持つナイフを器用に操り、喉元を跳ね切った。
……返り血がハデに飛ぶ。避けようとしたが、血が噴き出す勢いには叶わなかったようだ。右袖が染まる。
既に血臭には麻痺していたが、トドメを差すと即座に崩れゆく怪も、なかにはいる。腐敗臭には慣れなかった。吐き気がする。
それでも足を止めたら、異境どころかあの世への片道切符もあり得るだろう。吐き気をこらえ、動け！ と身体に命じ、右手と左手を同時に動かしながら身体をひねり、ひるがえし、二本の鎖を操りながら乱暴に怪をなぎ倒す。
それでようやく身体が元通りに動くようになった。数もだいぶ減ったように見える。これなら封印部隊が到着しても大丈夫だろう。
【離】
ふいに響いた音に、これはなんだっただろうか？ と首をかしげる、その前に視界がぐらりと揺れた。場を移動したのだと理解した瞬間、少し離れた場所にいる漆黒の髪が目の端をかすめた。椿かもしれないし、紫檀（したん）かもしれない。
どちらもあざやかな色素をたたえている。妙に髪色の薄い者が多い特務で、黒髪は目立った。帰ったら染めてみるかな… 現実逃避気味の自分の思考に、日向は笑う。
「日向！ 永久の旅路につくところだったぞ、もっと真剣に動かぬか」
見れば先刻、己れがいた場に怪の長い爪が刺さっていた。
あっぶね～と思わず口から洩れた。その場で鎖をふるい、ナイフを突き立てる。
「片道切符は遠慮したいよなぁ。どうせ行くなら… どこがいいかな」
「ノンキなことを語ってないで早く終わらせよ！」
「はいはい」
「そうして、われに礼をせよ。中村藤吉本店の生茶ぜりぃが良い」
「京都まで行っておいでよ…… 俺が往生してからね」
そういって怪に絡まったままの鎖を引き寄せれば、
「無事かっ」
椿の声がすぐ側で響き、増援部隊と封印部隊の到着を知る。
無事も無事、俺がやられるわきゃないっしょ～、と軽口を叩き、自分の袖を見た。
ふいに弟・朱継の声が頭に甦る。
（今度、ハデに返り血で汚したら、次の軍服はピンクな！）
…いっそ髪もピンクに染めてやろうか。
日向は深く息を吐きだし、そこにため息を紛れこませた。
『日向……』
詞名（ジーナ）の硬い呼びかけに、周囲を警戒しながら、どうした？ と小声で問う。
『生茶ぜりぃ、ほうじ茶か抹茶か選べぬ。2個でも良いよな？』
……日向はそっと空を見上げた。夜が明けきるまで後少し。暁の空には、薄ぼんやりとした月が浮かんでいた。
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椿絢爛（つばき・けんらん） 黒沢大和さん
白洲霞潭（しらす・かたん） ☤ネコ衛門☤さん
白洲霞潭（しらす・かたん） ☤ネコ衛門☤さん
羽鳥軽（はとり・かろみ） ロワゾーさん
護神・紫檀（したん） 黒沢大和さん
護神・詞名（ジーナ） ばにら☆*さん ← 正式名：碧爛（びぃらん）
護神・紫檀（したん） 黒沢大和さん
護神・詞名（ジーナ） ばにら☆*さん ← 正式名：碧爛（びぃらん）
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九曜日向（くよう・ひむか） 和.com
九曜日向（くよう・ひむか） 和.com
九曜朱継（くよう・あきつぐ）
…… あ、3000字超えた (￣～￣lll)
あきつぐかなー、ひむかかなー
と悩み中。
うちに帰ったら読みに来る。
素敵な言葉ですね❤︎
これって少年漫画だったのね と思わせる凄まじいかっこいい戦闘シーンの連続！
ちょっと戦ってみたぁ〜い！！！
子供の頃は銃なんか邪道でやっぱり剣ですよねって考えていましたが
長い射程距離が勝利の秘訣なので精度が上がればやはり銃がいい！でも爆弾は味気ないでしょ
と思っていたけど結局はボタン戦争となって白兵戦で人間を消耗しながら実効支配オセロ？
みたいなー やはりトレンチナイフですよ
壮士の血は地中の翡翠（碧）となるという言い伝えが中国にある。
恨血千年土中碧、と李賀などは詠んでいる。
青くなるほど鮮烈な詩人の血、というあたりから。
以上、転載 (*ﾉωﾉ)
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白兵戦のプロフェッショナル！！
一人、敵側に斬り込んで、素早い身のこなしで次々に、敵を切り裂いていく。
迫力満点です！！！★
この戦闘形態では、だいぶカロリー消費が多そうです。
生茶ゼリーよりも、羊羹とかどら焼き等、カロリー多いものを推奨いたします（微笑）。
異能モノでもやっぱ格闘攻撃はロマンだよなあ。
けっこう大した能力だとおもうんだが、どうしても攻撃しない能力って戦闘シーンに登場させにくいもんな。そこを性格で補ってる感あるｗ
ジーナの能力ともかみ合ってて、護神とセットでかけそうだ。
(*>∇<) NICOTTO DOLLS GALLERY から､追加のお知らせ
〵ノ∪━∪━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
怪と戦う○○の愛し子たちと、子たちを護る護神が続々と集結しました。
ページもライトニングもパワーアップしてますｗ
ページに「○○の愛し子」の表示とライトニングに預言詩も追加されました。
コーデの参考や異能の設定の参考にも使えます。
✿護神の預言詩(ライトニング）
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「護神の預言詩」は、まだまだ募集中です。
こちらまでご連絡を(ロワちゃんの日記です）
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1104605&aid=69904255
#護神の預言詩 #shindanmaker
https://shindanmaker.com/1055254
リンクチェックとお知らせで伺いました。
今回はじめて存在を知った (*ﾉωﾉ)
いやぁ～緋金も吠えてばかりで申し訳ない (｡- 人 -｡)
朱継の護神が浄化の炎で残った遺体は焼き尽くしてくれるから。
それに確か、羽鳥も浄化能力を持ってたはずだしｗ
きっと惣矢くんも大丈夫！
共通設定要覧に白髪多いって書いてあったので、ドールギャラリーを見直したら、
ホントに白髪とかブロンドとか多いの (＠_＠;) 濃いめの色では赤がけっこういたねぇ。
九曜家はみんな白だしｗ そう思えば、癖のない黒髪は目立つと思ったんだ。
そうです、それでピンク先取りしてみました (((o≧▽≦)ノ彡
髪も服もピンクってキツイ気がする。しかも、このデザインだしさ～。
たぶん、もう着ないｗｗｗ
すっごい面白かった。
戦闘シーンもかっこいいし、ひむかのちょっと軽めな少年感もすごくいい。
詞名（ジーナ）の力も発動の仕方も特殊で有能なのに、
まぢめに生茶ぜりぃの味でちょっと悩んだかわいさよｗ
椿の黒髪を生かしてくれてありがとー！
こういうの読むとまた書きたくなるんだよねぇ
ギャラリーの書き遊びコーナーに掲載しました。
戦闘シーンカッコいい！！！ ヽ(ﾟ∀ﾟ)ノﾊﾟｯ☆
やっぱり近接戦いいなぁ 斬って張ってなぎ倒して… 爽・快・感☆（←ちょｗ
読んでてスッキリしました。
そして 臭いのか… なおなお惣矢は近接向かないなぁ
でもここに封印として後着するんだよね また着いた途端にえづいてそうですｗ
護神の硬い呼びかけに警戒したのに そっちかーい！(*ﾉωﾉ) って遠い目をするところ
楽しいなぁｗｗ
ローザが失礼なやつで申し訳ないっ(o*。_。)oペコッ(o*。_。)oペコッ
最初にあやまっとくwww
（感想がそこかよ！ｗ）
九曜って三人いるしｗ
戦闘シーンも、護神のジーナの話しかけも、小気味良いテンポで、たのしい。
最初に動く部隊だから、ピンクになっちゃうね。
スイーツの話しもほっこりｗ
ライトニングに追加しますね。
生茶ゼリー懐かしい。
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=180002&aid=69927732
こっちはもう文字数に余裕がない (っω｀－。)
作者の思いから生まれた化身にするのが手っ取り早かったんだ。
血が出るのも出ないのも、実体があるのも無いのも、
遺体っぽいのが残るのも、すぐに腐るのも、砂のようにさらさらと消えるのも
なんでもアリでいいや！ というのが私の設定ｗ
日向が対峙する怪には、実体が必要。
朱継ならゴースト型でもいけそうな気がするけど、トドメは差せないかも。
古詩の化身だから言霊で呪文かけてくれるのかー
なるほどー
いいね(・ω・)bｸﾞｯ
あと怪って血が出るんだ(◎ω◎)！
どーゆーものんいまいちイメージがつかめなかったので
(￣。￣)ホーーォ。っと思いました^^
もとは服も髪も白かったんだね^^
ピンクに染まったんだー(*´艸`*)
たま～に待機組同士でポーカーとかブラックジャックとか、していそうｗ
その隣にはゼッタイ仮眠室もあるハズ！
二段ベッドかな～それともシングルベッドが何台か？
あ、座敷だったら押入れがあって布団だよね～。
ジーナは甘味が好きなのね。
持たせようかしらんｗ
また来るねー(｡◠‿◠｡)ﾉ
出してくれてありがとです(〃∇〃)ゞ
あ、その抹茶ぜりぃ持ってるよ。
行くと、お部屋アイテム・生茶ぜりぃがもらえたんだ、一人いっこ限りだけど。
それを思い出して、出してみた。
とりあえず目がつぶれかけてるので
ちゃんとした感想は明日書く！！！
椿と紫檀 使ってくれてありがとう！