Nicotto Town



日本百名山 ~ BSプレミアム ~ ③     


こんばんは!26日(火)は、西日本から東日本や東北では

広い範囲で雨が降るでしょう。
雷を伴った雨の降る所もある見込みです。
土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や反乱に警戒、注意してください。
落雷や竜巻などの激しい突風にも注意してください。
北海道は午前中は晴れますが、午後は次第に雲が広がり夜には雨が降る見込みです。
南西諸島は概ね晴れるでしょう。

白銀の世界
標高2000mの展望台
遮たるものの無い天空の峰々

             春の光きらめく高原へ
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               長野 美ヶ原

〇登山ガイド 植松晃岳さん

植松さんはガイド歴30年のベテラン。
美ヶ原の自然に詳しい山の案内人だ。

*撮影:3月上旬

前回はカノープスという星を観察したところまでの紹介でした。
今回二日目は日の出を見に行くところから始めます。

2日目

朝5時半

「おはようございます。
 え~と、今朝は天気がいいので、近くの牛伏山まで日の出を見に行きましょう。
 はい、じゃあ行きましょう」

夜明け前、気温は氷点下12度。
冷え込んだな~。

20分程で牛伏山に到着。

〇牛伏山(1990m)

「はい、着きましたよ。
 ここでしばらく陽が昇ってくるのを待ちましょう」

「あっ、向かいの上に太陽が顔を出しました~。
 美ヶ原の夜明けですね~」

厚い雲の中から滲むように太陽が出てきた。

東の空を段々朱に染めていく。

日の出から間もなく頂上の西側へ。

「あっ、うわっ、見てくださ~い。
 凄い、山がこの瞬間だけ薔薇色に染まります。
 これがモルゲンロート、朝焼けです。
 今、こういったこの瞬間だけの色ですね~」

僅か10分程で消えてしまうというモルゲンロート、感激だ。

午前9時、山小屋を出発

昨日の吹雪で木々が真っ白に雪化粧している。

「凄いですね~、樹氷が輝いてますよ~」

「これ見てくださ~い」

海老の尻尾みたい。

「へぇ~、これ~、昨夜(ゆうべ)の一晩のうちに出来た樹氷ですね~。
 こんなに大きいですよ~。
 え~、食べてみたくなりますね。
 海老の天婦羅みたい、味無いけれど。
 美味しい」

一晩でこんな見事な樹氷出来たんだ~。

「はい、では~ちょっと気をつけて~、ここを歩いて行きま~す」

何ですか~、ここは?

「これはね~、柵なんですよ~。
 え~と、こっから中はあの牧場なんですけれども、
 こっから登山道が始まります~。
 で、ここを歩いて、今日凄い雪原ですね~。
 普段は、あの~牧草地帯なんですけれども、雪に埋まってますので。
 はい、行きま~す」

*現在 柵は閉鎖されています

〇茶臼山登山道

雪に覆われた登山道。
植松さんの後をしっかり付いていく。
ここからはスノーシューを履いていく。
フカフカの雪原を歩くのって~、気持ちいいですね~。

「は~い、雪が舞い上がりますね~」

春の陽に輝く雪原を行く。
とっても贅沢な時間だ。

「ちょっと茶臼山が見えてきました~」

「この辺りに兎の足跡がありますね~」

どこですか?

「ここは辺ずうっと兎の足跡ですよ~」

何で兎って分かるんですか?

「兎は~、後ろ足が大きくて~、兎跳びっていうように跳ねて歩きますよね~。
 ですから、これが前足。
 あ~、指も見えますね~。
 チョンチョンでパッ。
 ですから、後ろ足が前足よりも前にくる。
 それが兎の歩き方ですね。
 これ今下の方からですね~、ずうっと上に向かって、
 どんどん上に向かって歩いていますね~。
 そちらで餌を探しているんでしょう」

何食べてるんですか?

「新しい新芽ですね。
 芽だとか、え~、柔らかい枝。
 そういったものを冬は食べて凌(しの)いでいます」

山小屋を出て1時間、ガスが出てきた。

随分気が増えてきましたね~?

「この辺はズミですね~」

ズミ?

「ズミはですね、酸っぱい実という字を書きます」

酸っぱい実か。
どんな実だろう?

「ここにちょうどですね~。
 え~、去年の秋の赤い実が残ってますね~」

〇酸実(ずみ)

小さなサクランボみたい。
周りは樹氷で覆われている。

「この辺美ケ原一帯はずうっとこのズミがあります~。
 ちょうど赤い実と結晶、これもこの季節ならではのものですね~」

あ~、青空が見えてきましたよ、植松さ~ん。

「や~、これだけ出てくるとね~、もう時間の問題ですよ。
 霧がバーっと一瞬に晴れるかもしれません」

美ヶ原を覆っていたガスが消えていく。
気持ちいな~。
どこまでも行きたい気分だ。

この辺は雪がだいぶ積もってますね~。

「や~、これ綺麗ですね~。
 これが昨夜(ゆうべ)のブリザードで出来たシュカブラですよ~」

シュカブラですか?

「これはあの風紋といって~、風が織り成す~、雪の芸術ですね~」

風が作ったんですか~?

「このように風が吹いて、それが波のように押し寄せてますね。
 ずーっと広がってます。
 まるで氷の波ですね~。
 まさにさざ波、さざ波ですよ~」

雪に描かれた紋様は高原を通り抜けていった。
風の足跡なんだ。

ここからアルプス展望コースを歩き、最高峰の王ヶ頭を目指す。

〇アルプス展望コース

「はい、色んな山が見えてきました~。
 中央アルプスですね」

〇木曽駒ケ岳(2956m)

たなびく雲の上に木曽駒ケ岳が見える。

〇御嶽山(3067m)

「え~、その右が~、御嶽(おんたけ。
 正面には乗鞍(のりくら)岳も見えてます」

〇乗鞍岳(3026m)

3000mの峰々が真っ白だ。

「まさにアルプス展望コースならではの景観ですね~」

日本の名立たる山々を眺めながら行く、素晴らしい。

「これから行く王ヶ頭があそこに見えてきましたよ~」

見通しの良い王ヶ頭には放送局などの電波塔が建ち並ぶ。

「はい、こっから~、あと少し最後の登りです。
 気を抜かずゆっくり行きましょう。
 滑らないように行きますよ~」

結構急ですね~?

「はい、この先は凍ってます~。
 チェーンスパイクの爪を食い込ませて、ゆっくり慎重に行きますよ~」

正午過ぎ美ヶ原の最も高い場所までやって来た。

「はい、お疲れ様でした~。
 美ヶ原の最高峰王ヶ頭に着きました。
 2034mです」

今回は王ヶ頭に到着したところまでと致します。
次回は王ヶ頭からの眺望のことから始めます






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