Nicotto Town


モリバランノスケ


白い花

今、温室の中にいる。天井と壁面のガラスから柔らかな陽光が差込み、暦の上での、大寒とは思えぬ、暖かさである。私は、思はず(北の大地とはえらい違いだ)と、呟いていた。ここの住人(主人)の愉しげな表情を見て、一安心。

私は、大きな葉を青々と繁らせ、見事な房を実らせたミヤコバナナ(私の栽培するバナナのブランド名)の見上げた。そして、葉と房に優しくソット触りながら、話しかける。<元気そうだね。安心したヨ>、と。彼からも、明るく、健康そうな声が、返ってくる。(お久し振りです。お陰様で元気にしてました)と、楽しげ。

彼の話によると、昨年、何度かここを通過した台風の被害は、ほとんど無かったらしい。ガラスとガラスの隙間から、雨水が染み込み、少し溜まったらしいが、問題にならない程度。私はそれは良かった、ヨカッタと、返答していた。

大きなバナナ葉をかいくぐり、その間をぬって進んで行く。その奥で、真っ白い小さな花をすずなりにつけた、ハツピネス(栽培するコーヒーのブランド名)が、私を待っていてくれた。私は語り掛ける。<沢山の花を咲かせてくれて有難う。元気そうだね>。彼女も、(お久しぶりです。私は健康ですヨ。お元気でしたか?)と、返してきた。

私は、積もる話を、ミヤコバナナとハッピネスの一本一本と語り続ける。皆んな、興味深げに楽しそうに聴いてくれた。語り終えて、改めて温室の中を、見上げ、見渡した。そして、体の奥ぞこから、こみ上げてくる満ち足りた感情に導かれる。そこには、なんとも表現のしようのない、幸福な世界が拡がっていた・・・・・。




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