Nicotto Town


モリバランノスケ


違和感

ピョン太が、スルスルと黒松君の枝から降りてきた。私は、散歩の時には、いつも携帯している、簡易椅子を拡げて、ノンビリとした気分で座る。草葉の陰から出て来た、兎のウサコも加わって、シャム、ピョン太と共に、私の周りに集まる。

その時、椅子の下で、(イタイヨー)と、叫び声がする。見ると、クローバーが!。私のチェアーが、彼女を踏んでいたのだ。グランドカバーなので、踏まれることに慣れているし、むしろ、ツボを刺激するからと、それが大好きのハズ。が、今回は、当たり所が、悪かったのだろう。私は、(ゴメン)と言って、椅子を少しずらした。

皆で、早朝の爽やかな空気を、深く吸い込み、心身ともにリラックス。互いに笑顔を交わす。
そんな中で、さっきまで、クロマツの枝先に居た、リスのピョン太が、少し深刻そうな表情で(クロマツが、落ち込んでいるみたい)と、私に。

私達は、いっせいに、クロマツを見上げる。彼は、何時もと変わらず、泰然自若といった姿。
しかし、彼が、心の奥で何を悩んているかは、チョット目では分からない。ピョン太が、その胸の内の苦悩を、我々に、代弁してくれた。

クロマツは、自分が、商品として金銭で買われ
てきた事に、長い間、違和感を持ち続けて来た。周りの樹木達は、親木の種子が、風や鳥、あるいは、自力で地面に到達して発芽し成長し大きくなった。それなのに、自分は、と・・・

私は、その事を聞いて、なんだそんな事か、と思い、クロマツに話し掛けた。

私が、この山を購入した時点では、この庭は
更地だった。だから、君の周りの草木、花木、樹木のほとんどは、ホ−厶センタ−で私が求めた者たちだ。勿論、そこの、楠、柏、楢、などの日本古来の広葉樹はここで自生した者達だが。

君の隣から、南西方向に息づく、柿、楓、桜、ライラック、ザクロ、等なども、私が、購入してきた。なのに、彼等は、(そんな事考えたこともないよ)と、言うだろう。君が、そんな事で悩んでいたなんて、ある意味、素晴しいです!。

周りの者達が、そうだと思い込まされている、いわば、(常識)を疑ってみるスタンスは、なかなか出来ない事です。君は、自分の命が、商品として買われてきた事、そのことに悩んでいる。

昔々、大昔は、人間、動物、植物は、皆、平等に暮らしていた。しかし、人間が欲を持ち始めてから変わった。今は、人間がその欲望の限りを追求してきた結果の姿だ。何でもかんでも、商品に仕立てて、資本、金融の命ずるままに、それに追随してきた。われわらは、そのことが、文化、文明の進化と思わされ来たんだ。

今のロシア。兵士までも、金銭で、海外から。

君の(違和感)。凄くいいよ!。尊敬するよ!。




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