Nicotto Town


モリバランノスケ


お蝶の旅立

いよいよ、お蝶を永遠の旅へと送り出す時が、刻一刻と近づいて来た。彼女の死が、間近である。南から北へ、或いは、北から南へと、過酷な旅を続けた、一生だった。縁があって、ここに定住したが、束の間の心安らぐ時間であったろう。

今日は、風もなく、気温も程良い穏やかな陽気である。その為、我がFamilyのLunchは、ベランダに出て、行う事にする。いつものメンバーである、チャム、ウサコ、クモ吉、カスタム、そして、主賓のお蝶。それに、今日は特別、ピョン太、タカオ、庭や森の草樹木(黒松、青年クスノキ、老クスノキ、等など・・・)が、参加する。

先ず、最初に、お蝶が挨拶を始める。

○本日は、私のお別れ会の為に、集まっていただき、本当にありがとうございます。又、こんなに素敵な、Lunch会を開いていただきまして、本当にありがとうございます。私の生涯は、南から北へ、北から南へと、過酷な旅の連続でした。

ですけれど、この森で一休みしようと立ち寄らせて頂いた時、本当に疲労困憊してしまって、
ここのご夫婦(私と妻)に、助けていただいたのです。それに、ここの庭や森の皆さんの優しさに本当に助けていただきました。そして、皆さんと心からの会話を交わす事を通じて、生きる意味を知ったのです。本当に、ありがとう。

私の寿命は、この五月で、終わります。私には蝶の命のサイクルが、はっきりと分かります。
先日、青年クスノキさんにお願いし、彼の葉裏に、私のかわいい子供達になる、卵を産まさせて頂きました。私の死後に、サナギになって、私の様な蝶に成長するでしょう。ひょっとしたら、皆様にご迷惑をお掛けする事になるかもしれません。そのせつは、私に免じて、お許しいただきたい。

最後に、お願いが在ります。この事は、以前から、ご主人様に、お願いしている事です。

私の亡骸は、色々な事を広く深く教えて頂きました、私の師匠でもある、老クスノキさんの根本に、葬っていただきたいのです。・・・・○

お蝶は、ここまで喋り終えると、回りの皆々に
深深と頭を下げた。




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