Nicotto Town


モリバランノスケ


古道その2

今朝も、早朝散歩に選んだのは、古道である。私の相手は、チャムとウサコ。昨日と同じ様に持参したロッキングチェアーを拡げて、ゆったりとした気持ちで、腰を下ろした。場所は、これから階段が始まろうとする平地で、そこも我が敷地である。

ここには、私に覆い被さるように、楠木の枯木が二本、息づいている。私は、彼等に話し掛ける。

私  (お早うございます)
右楠 (おはよう。元気かな?)
私  (お陰さまで。貴方も、お元気そう!)
左楠 (おはよう。元気かな?)
私  (お陰さまで。貴方も、お元気そう!)

私は、ロッキングチェアーの背もたれに深く身を座らせると、空を仰いだ。両クスノキの樹間から、青空がチラチラと見え隠れしている。風が、通り抜けて行く。正面を見据えると、微かな坂を下った先には、房総の山並(丘陵)を遠望出来た。

長閑である。私は、思わず、目を閉じた。そして、何時しか、瞑想を始めている。私の脳裏には、いにしえの時を越えて、この古道を行交った人々の姿が蘇る。この道は、房総半島の中央に位置する、表街道では無く、所謂、裏街道。関所が無いので、何らかの事情でこの地を去らねばならぬ人物には、好都合で安全な道だったはずだ。

私は、働き盛りの頃、静岡県西部に住んでいた。古くから、浜中湖の奥を通る裏街道が在り、通称、姫様街道、と言われていた。理由があり、関所を通れぬ婦女子が利用した。この道も、あるときは、その様に使われていた道だったのだろう。私は、長く生きて来た左右のクスノキの想いを通して、歴史上の様々な人々を思い返している。




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.