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小説『贖罪』

イアン・マキューアン 著
『贖罪』を読みました。

『ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「21世紀のベスト100冊」』の中に
本書を見つけたのがきっかけです。
2007年製作の映画『つぐない』の原作小説とのこと。
映画本編は未見だけれど
以前映画館で観た予告編での
キーラ・ナイトレイさんの
憂いを帯びた表情が
記憶の底に残っていたので。

一人の少女のついてしまった嘘が
人々の運命を狂わせていく物語。

小説家を夢見る多感な十三歳の少女。
彼女は無知ゆえの誤解からある証言をし
姉とその恋人の未来を
無残に引き裂いてしまいます。
さらに第二次世界大戦という時代の奔流が
彼らを巻き込み
凄惨な戦場へと駆り立てていきます。

イギリスの戦前から現代までの歴史に沿って
展開される濃密な人間ドラマ。
戦争の圧倒的な悲惨さと不条理。
漂うサスペンスの気配と
緻密なミステリー構造。
胸を突く不穏な予感とは裏腹に
ページをめくる手が止まらなくなりました。

そして戦時看護師となった主人公を描いた
第3部の締めくくりの文言に
え?? と戸惑い
続く最終章で
その疑問が氷解したときの衝撃ときたら…
読了後しばらく心のざわざわが収まりませんでした。

おそるべしは「言葉」の魔力。
私にはこの壮大な物語が
「歴史歪曲の寓話」に思えて仕方ありません。
ちょっとネガティブ思考が過ぎるかしら?
これ以上書くと
ネタバレになりそうなのでやめておきます。

実をいうと
ここで本書を紹介しようか迷いました。
センシティブな内容が含まれていて
息が詰まりそうな場面も多く
読んでいて楽しい気分にはなれないので。

けれどそれらを理由に本書を避けてしまうのは
あまりにも惜しい。
なぜなら
このような「手厳しい本」でしか接種できない栄養が
確実に存在すると思うから。

読書好きで
酸いも甘いも噛み分けた大人の方にこそ
おすすめしたい一冊です。
 

#日記広場:小説/詩

アバター
2026/07/04 17:25
わ、すごい濃厚な内容なのですね。
手厳しくても、心がざわざわする物語、惹かれます。
そういう小説って、一生モノですよね。
アバター
2026/07/04 10:58
以前から気になっていた小説です。ただその頃は単なる海外ミステリーとしてしか認識していなかったので、「ちょっと長めのミステリーでも読んでみるか」くらいの軽い気持ちでこの小説を捉えていました。でもユウさんのブログを読んで「これはそれなりの覚悟を持って読まなくちゃ!」という気持ちになりました。



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