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生きるとは


第三章 相模

第一節 芦名郷

時は、文明二年「1470年」元旦である。

常和は、今、浜辺の磯に立たづむ。そして、眼の前に広がる大海原を、少し目を細めて見渡している。無風の中、空には雲一つなく、どこまでま晴れ渡り、渾然一体となったような空気が、穏やかさを演出している。
静かだ。寄せては返す波の音だけが、一定の間隔をおいて、そこにある。

三浦半島の山並みから、顔おのぞかせた太陽が少しづつ上昇してゆき、海原をキラキラと照らしている。早朝の新鮮な空気を全身で味わいながら、上空を旋回している海鳥が、一瞬目がくらんだように急降下しては、また、上空へと昇ってゆく。多分、海中では、小魚の群れが、相模湾の中を回遊しているのだろう。

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