Nicotto Town



急な自作小説(短)

「待って、まだ行かないで。」

薄桃色に色づく街並み。
まだ少し冷たさの残る風。
新学期、新社会、新生活。
嬉しいのか悲しいのか、暖かさと共にやってくる混乱。
お空はとても快晴なのに、私の心の霧は未だ晴れない。
未だ漠然とした不安を抱えている。
けれど、あなたは待ってくれない。
どんなに心の準備をさせてと言っても、あなたは鳥の様に軽やかに進んで行ってしまう。
どんどん薄桃色が遠のいて行く。
瑞々しい緑色が芽生えていくばかり。

「お願い。まだ、春を終わらせないで。
あなたがいないと、私はどうしようもなく何もできない。」

それは、恋に似た様な感覚。

目の前をひらひらと儚く踊る薄桃色に手を伸ばす。

嗚呼、私はいつから、“桜”の美しさに気を取られてしまったのでしょう。
見惚れるという感情は、恋と同じ様な感情になる。
もしや、春になって気分が虚無に立たされるのは、気候や新しい時期が始まったからではなく、一年に春という季節に短期間でしか咲かない“桜”に気を取られていただけなのか。
それとも、ただただ私が現実から逃げたいだけなのか。
季節や花と同じように、人の心も移ろいでいく。
虚ろいで行く。

───どうか、幸せを忘れないで。

『春の朧げ』 作・ろぅ





(・∀・)イイネ!!と思ってくれたら嬉しいな(*^^*)

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2024/04/19 07:18
散文詩というやつかなあ?
このタイプを久しぶりに見た。



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