【短編】この腕から逃げるなよ?
- カテゴリ:自作小説
- 2015/02/15 23:55:14
「き、桐生さんっ……」
「なんだ?……」
「なんだってっ……」
この状況は恥ずかしすぎるっ。
私は今、世間的にいう「壁ドン」の態勢です。
お相手はもちろん私のお付き合いしている「桐生 達也」さん。
今日は彼が社長を務める会社に、お弁当を届けにきた、そう、ただそれだけだったはずなのにっ!
お弁当を渡そうとしたときに、不意にキスされそうになり、思わず逃げてしまった。
どうやらそれがお気に召さなかったらしく、じりじりと私を壁際まで追い詰めた。
「なぜ逃げる?」
「だ、だって…みんな見てるじゃないですかっ」
そう、社長室のドアはガラス張り、つまり秘書の皆さんには丸見えなわけで。
実際お隣の秘書室からは「いいな~」とか「リアルな壁ドンよ!w」とか黄色い声が上がっている。
私的にはそれどころじゃないっ。
彼の顔がすぐ目の前にある。
「気にする必要はない。誰にも何も言わせはしない。お前は俺が守ってやる。だから…この腕から逃げるなよ?」
「!…もう…ずるい…」
そういえば私が安心することを彼は知っている。そして彼がその誓いを守ってくれることを私は知っている。
観念して抵抗をやめた私の唇に彼がやさしいキスをくれる。
そんな私たちの幸せな日常―――。
END
あとがき
思いついたので勢いで書いてみました><
書いててとっても恥ずかしい><
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