【R18短編】束縛という名の愛情
- カテゴリ:自作小説
- 2016/12/24 12:11:38
「お前…馬鹿なのか?」
「ごめんなさい…」
私は今、ベッドの上で拘束されて、彼に責められている。
彼はとても嫉妬深い人で、私が職場で異性と会話しているだけでも気に入らないらしく、職場で直接怒らない代わりに彼の自宅で毎回このような仕打ちに出るのだ。
私自身そのことに不満はない、別に死にそうになるぐらい痛めつけられるわけではないし、私への愛情だと思えば耐えられる。
私が辛いのは…。
「こんなに何度も言ってるのに、まだ他の男と話すなんてな……お前本当に俺を愛してるのか?」
「!愛してます!本当ですっ…信じてくださいっ…」
「は……どうだろうな…」
「!」
呆れたようにため息をつくと、彼は私の拘束を解き、私をベッドから引きずり下ろした。
そして自分がベッドへと上がり、私に背中を向けた。
「もう、今日は帰れ…俺は寝る…」
「……は…い…」
ああ‥‥やっぱり…。
やっぱり、私の言葉は、彼には届いていないのだ。
いや、届いていたとしても言葉だけの、うわべだけだと思っているのだろう。
言葉だけでは…決して届かない…。
私は座り込んだ床から、ゆっくり立ち上がり、彼の寝ているベッドの上にゆっくりと上がり、彼にまたがる。
「っ…なんだ…帰れといっ…っ!?」
「しょうがない…ですよね…」
驚いている彼の身体に馬乗りの体制をとり、私は自分の首に巻かれた首輪をはずし、彼の首に締めなおした。
「ひ…な…?」
「言葉は…届かないんですから…」
「な、なにを言っている‥‥?」
私の行動が信じられないというように、彼は目を見開いている。
そんな彼を私は、彼の首輪につないだ鎖を使って引き起こす。
「ぅっ…な、なにを…」
「私も…不安…だったんですよ…?」
「!」
彼は、会社でもとても優秀で、人望も厚く、会社の女子社員からも、幾度となく告白されている。
私は、そんな様子をいつも見せつけられてきた。
そして、そのたびに、黒い感情が私の中に溜まっていった。
それでも……貴方は、私を選んでくれた……。
すごく嬉しかった、でも同時に不安もあった。
いつか、彼は私のもとを離れてしまうんじゃないかって。
だから、貴方が嫉妬心から私に何をしても私は耐えられた。
彼の心が私に向けられている、それだけで私は幸せだったから。
そんな子供じみた独占欲。
でも…貴方の心は…今…だったら…。
今、彼の心が私から離れようとしている…。
そんなことは耐えられない…。
「こんなにも狂おしいほどに愛していても…貴方には伝わらなかった…こんなにも…愛しているのに…」
「……」
「貴方が…私を信じられないというのなら…それでもいい…私は貴方を逃がさない…誰にも…渡さない…」
どんな手を使っても…貴方を繋ぎとめる‥‥。
「だから…貴方に…印を…つけますね…」
「っ…ぁ…っ…」
引き寄せた彼の首筋に、きつく吸い付くと淡い花が咲く…。
「まだ…ですよ…?もっと…身体中につけないと…」
「ひなっ…もうっ…わかったっ…」
「……何が…わかったんです?」
「っ…」
つかんでいた鎖を放し、彼の顔に手を添えて、私は叫んだ。
「ずっと…ずっと…わかってくださらなかったじゃないですか!私はいつも…いつも…真実を貴方に捧げていたのにっ!…なのにっ…」
「……ひな…」
「苦しいんです…苦しくて…もう狂ってしまいそうなんですっ……ぅっ……ぁ…わああああっ」
もう、止まらない。
想いが…感情が…。
翌朝…私は彼のベットの上で、目を覚ました。
昨夜のことは、記憶が途中で途切れて、よく覚えていない。
でも…結果はすぐに分かった……。
傍に彼の姿はなかったから…。
結局…失ってしまったんだ…。
「私…何をやってるんだろ…」
私がそうつぶやいたとき…。
「目が覚めたのか…」
「!」
彼が、私を後ろから抱きしめてくれた。
「すまなかったな……気づいてやれなくて……馬鹿は俺だな」
「あ、あの……」
「しかし…お前も結構…激しいな…くくっ…」
「!」
彼にそう言われて、昨日自分がしでかした大胆な行動に恥ずかしくなった。
慌てて彼の身体に向き直る。
「あ、あのっ…ご、ごめんなさい…」
「まったく…お前は…いつも謝ってばかりだな…」
彼はそう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。
ふと彼の首元に目をやると、昨日私がつけた首輪がつけられたままだった。
首輪の周りがかすかに痣になっている。
「あ、あの…すぐに外しますっ……」
「いや……このままでいい……お前の想いに気づいてやれなかった罰だと思えば悪くはないからな…」
「そ、そんな…恥ずかしいっ…です…」
「幸いにも今日は休日だ、今日だけはお前の下僕でいるのも悪くない…」
「い、下僕だなんて…」
私が恥ずかしさから戸惑っていると、彼は恭しく私の前に膝をついた。
「さあ…ご主人様…お望みは何ですか…?」
「あ、あの…」
彼の微笑はいつも私を魅了する。
この笑顔を向けられてしまったら、もう観念するしかない。
「だったら…愛してください…もう私を放さないで…」
「仰せのままに…ご主人様…」
彼の腕が……私を捕まえる、ベッドの上にいざなわれ…2人で…重なる。
束縛が愛情の証…そんな異常な愛を…私に…ください…。
END
あとがき
今回は内容がちょっとあれなんで…R指定にしておきました^^;;
もちろん全部妄想です!
こんな経験は全くありません笑
後半燃え尽きた感があるのはお許しを~!!
感想など伝言板記事にいただけたら、泣いて喜びます。