【R18短編】私は貴方の人形
- カテゴリ:自作小説
- 2016/12/25 22:28:18
「戻ったか」
「はい…遅くなりまして申し訳ございません…」
とあるオフィスビルの最上階。
そこで私は今、この部屋の主で社長の霧島 玲人様の前で跪く。
「例のものは」
「はい…こちらに…本物であることは確認済みです」
「そうか…よくやった…特に…問題はなかったか?」
「はい…」
彼はとても優秀で、特許技術をいくつも取得している。
ゆえに会社に侵入し、特許のデータを盗もうとしたり、内部のものが他社にその技術を売ろうと画策することも珍しくない。
それを、未然に防ぎ、内密に処理するのが私の仕事だ。
それゆえ、会社の社員名簿に私の登録はない。
「そうか…ならこの傷は何だ…?」
「!…ぁ…ぅ…」
私の返答に疑問を感じたのか、彼にいきなり抱き寄せられたかと思うと、腰を抱きしめている腕に力が込められる。
今回は特許データのディスクの回収が任務だったのだが、相手が思いのほか抵抗し、ナイフで襲ってきた。
こういうことは珍しくもなく、大した怪我でもなかったので報告はしなかったのだが、見抜かれていたらしい。
「どうした?……ずいぶんと苦しそうだな…」
「い、いえ…ぁ…ぁ…」
「そうか…なら…こうしても問題はないな…っ」
「ぁぁっ…お、お許しをっ…ぅ…」
彼の腕にさらに力が込められ、傷口をつかまれたため、あまりに激痛に意識が保てず、身体の力が抜けていく。
「んっ…」
「気がついたか?」
次に目が覚めた時、私はベットの上で彼に抱きしめられていた。
「玲人様……申し訳ございません…お見苦しいところを…」
「傷の手当はしたが‥‥…まったくお前は…無理をするなとあれほどいっただろう?…まあ、やらせている私が言う資格はないがな…」
「い、いえっ…私が望んでしていることですっ…玲人様のせいではありませんっ…」
「いや…お前のことを愛しているなら…こんなことをさせるべきではない…私は…おまえの想いを利用しているのかもしれないな…」
「玲人様……」
そういって彼は、私に悲しそうなまなざしを向ける。
その表情を見ることが、私は何よりも辛かった。
自分のしていることは、時には法に触れることもある。
正しいことではないのはわかっている。
いつか報いを受けるであろうことも。
それでも、彼の役に立ちたかった。
私を…身寄りのなかった私を雇ってくれた…彼のために。
「それでも…いいんです…」
「ひな?………」
「利用でいいんですっ…貴方のお役に立てるならっ…私はっ、玲人さまの道具でっ…人形で…いいんです…」
「っ…」
思わず、彼の胸に縋りつきながら叫んでしまった。
溢れる思いが抑えられなくて。
すると、不意に唇を塞がれた。
「ふっ…んっ…んんっ…」
「お前は…本当に…」
「玲人様…?」
「あまり可愛いことを言ってくれるな…止められなくなってしまう…」
「んんっ…ぁ…」
「愛しているよ…私の愛しい人…どうか…これからも力を貸しておくれ…」
「はい…」
少し困ったような笑顔を向けながら、彼は私にキスをくれる。
これが私にとって何よりの褒美だ。
私も…愛しています…ご主人様…。
私は貴方のお人形…。
いつか私が死ぬ…その時まで…。
END
あとがき
こんばんは。
今回も内容がちょっとあれなんで…R指定にしておきました^^;;
もちろん全部妄想です!
こんな経験は全くありません笑
後半燃え尽きた感があるのはお許しを~!!
感想など伝言板記事にいただけたら、泣いて喜びます。