【短編】どうか…素敵な夢を…
- カテゴリ:自作小説
- 2016/12/28 14:55:35
「お嬢様…まだ起きていらっしゃったのですか…?」
深夜、お嬢様の部屋にうっすらと明かりが見えて、私がドアを開けると、そこにはパジャマ姿のまま机に向かっているお嬢様の姿があった。
「あ、ご、ごめんなさい…」
私に気づくとお嬢様が申し訳なさそうに肩をすくめた。
机の上には就寝前に自分が入れた紅茶がすっかり冷めた状態で置かれていた。
お嬢様…またご無理をなさってるんですね…。
「お嬢様が何事にも一生懸命取り組まれるのは存じておりますが、ご無理をなさってはお身体に障ります。どうかお休みになってください」
「あ…え、えっと…」
勉強の区切りが悪いのかお嬢様は少し困ったような表情で私を見つめている。
おそらく、やりかけのまま終わるということに抵抗感があるのだろう。
このまま自分が部屋を後にすればきっとまた続けてしまうに違いない。
本来なら、最後までさせてあげたい。
しかし、お嬢様の身体のことを考えると、これ以上無理をさせるわけにはいかなかった。
しかたない…。
「お嬢様、失礼します…っ…」
「!…ぁ…んっ…っ…」
私はお嬢様の腕をつかみ、強引に抱き寄せ、そのまま唇を重ねる。
抱き寄せたお嬢様の身体はすっかり冷えていた。
「こんなに冷えて…ご無理はいけませんよ…っ」
「な、なにを…んっ」
「お嬢様…んっ…」
幾度となく唇を重ねると、お嬢様の冷えた身体が徐々に熱を帯びる。
戸惑いと驚きのまなざしが私に注がれる中、私はそれでもお嬢様を逃がさない。
「んんっ…ふっ…っ…」
「!…」
しばらくして抱き上げているお嬢様の身体から、力が抜けていく。
お嬢様が意識を失ったことを確認すると、私はお嬢様の身体を抱えてベットに横たえ、寝具を整えた。
「申し訳ありません…お嬢様…少々強引な手法を取らせていただきました…」
安らかな顔で眠っているお嬢様に私はそっと語り掛ける。
「貴女は本当に素敵なお嬢様です…私はそんな貴女にお仕えできることを誇りに思います…」
愛しいお嬢様…どうか素敵な夢を…。
END
あとがき
こんにちは。
今回は執事ネタとキスネタです。
お嬢様をキスで気絶させる、ふとこんなネタを書いてみたくなりました。
いけない執事さんですね笑
キスは大人バージョンをイメージしたんですが、む、難しい…。
もちろん全部妄想です!
こんな経験は全くありません笑
感想など伝言板記事にいただけたら、泣いて喜びます。