Nicotto Town


藤宮ひなののんびりブログw


【短編】ビターチョコ

「久しぶり。やっと会ってくれるんだ?」
「あ、う、うん


この日、久々にひなに会う日だったのに、俺はなぜかイラついていた。
久しぶりとはいったが、実際はたった2日だ。
それでも、毎日会っていた俺としては不満なわけで…。

「で?俺を拒否してまで…何作ってたの?」
「あ、あのね…これなんだけど…」

そういって彼女が出してきたのは、皿の上にいくつも乗せられたチョコレート。

ああ…バレンタインか…。

「チョコ…ねえ…」
「あ、あのね…慧くん…ひとつでいいから食べてみて?」

彼女が申し訳なさそうにしてる原因は俺にある。
実をいうと、そんなに甘いものが好きなわけではない。
それでも、彼女の困った顔が見たくてチョコを希望しているのだ。

「誰も食べないなんて言ってないじゃん…!」

ひとつつまんで口に入れてみると、かすかにコーヒーの味がした。

美味しい…。

かすかに香るコーヒーの香りと、口の中に広がる、苦みと甘み、それらがとてもいいバランスだった。

「ど、どうかな?」
「……」

普通にほめてもいい出来だったが、彼女の困った顔を見ていると、つい意地悪をしたくなってしまう。

「ひなも、食べなよ、ほら」
「あ、うん…」

彼女が一粒、口に入れたのを確認すると、俺は彼女の腕を掴んで引き寄せる。

「え…どうし…んっ…ふっ…」
「っ…やっぱり…この方が…美味いよな…っ」

彼女にキスをすると、口の中のチョコがゆっくりと溶けていくのが分かった。

「ありがとう…美味しかったよ。また作ってね?」
「!う、うんっ」

恥ずかしさを残したまま、喜んでる彼女の顔は、最高に可愛い…。



END




あとがき

こんばんは。

今回はリクエストをいただいて書いてみました。
ツンデレというのがよくわかっていないのですが、あってるんでしょうか;;
バレンタインシチュは考えさせていただきました。


感想やリクエストなど伝言板記事にいただけたら、泣いて喜びます。





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