【短編】ビターチョコ
- カテゴリ:自作小説
- 2017/02/05 22:11:10
「久しぶり。やっと会ってくれるんだ?」
「あ、う、うん」
この日、久々にひなに会う日だったのに、俺はなぜかイラついていた。
久しぶりとはいったが、実際はたった2日だ。
それでも、毎日会っていた俺としては不満なわけで…。
「で?俺を拒否してまで…何作ってたの?」
「あ、あのね…これなんだけど…」
そういって彼女が出してきたのは、皿の上にいくつも乗せられたチョコレート。
ああ…バレンタインか…。
「チョコ…ねえ…」
「あ、あのね…慧くん…ひとつでいいから食べてみて?」
彼女が申し訳なさそうにしてる原因は俺にある。
実をいうと、そんなに甘いものが好きなわけではない。
それでも、彼女の困った顔が見たくてチョコを希望しているのだ。
「誰も食べないなんて言ってないじゃん…!」
ひとつつまんで口に入れてみると、かすかにコーヒーの味がした。
美味しい…。
かすかに香るコーヒーの香りと、口の中に広がる、苦みと甘み、それらがとてもいいバランスだった。
「ど、どうかな?」
「……」
普通にほめてもいい出来だったが、彼女の困った顔を見ていると、つい意地悪をしたくなってしまう。
「ひなも、食べなよ、ほら」
「あ、うん…」
彼女が一粒、口に入れたのを確認すると、俺は彼女の腕を掴んで引き寄せる。
「え…どうし…んっ…ふっ…」
「っ…やっぱり…この方が…美味いよな…っ」
彼女にキスをすると、口の中のチョコがゆっくりと溶けていくのが分かった。
「ありがとう…美味しかったよ。また作ってね?」
「!う、うんっ」
恥ずかしさを残したまま、喜んでる彼女の顔は、最高に可愛い…。
END
あとがき
こんばんは。
今回はリクエストをいただいて書いてみました。
ツンデレというのがよくわかっていないのですが、あってるんでしょうか;;
バレンタインシチュは考えさせていただきました。
感想やリクエストなど伝言板記事にいただけたら、泣いて喜びます。