Nicotto Town


藤宮ひなののんびりブログw


【短編】鏡を磨く女

「ひな、すまないがこれも頼む」
「承知しました…」

私は執事さんから汚れた鏡を受け取って、それを仕事部屋である自分の部屋に持ち帰った。

「さあ…綺麗にいたしましょう…」

私はいつものように鏡を愛しむように磨く。

私がこのお屋敷に来たのは数年前、奥様の身の回りのお世話をするために雇われた。
しかし、奥様が私の顔にあった傷を気にされたため、すぐにそのお役目から外されることとなった。

すでにどの仕事も、人手が足りていたため、執事さんが私の処遇に困っていた時、奥様がこうおっしゃった。

「貴方、鏡の掃除だけは上手かったわね、なら貴方は、鏡を磨きなさい」
「承知しました、奥様」

以来私は、自室で独り鏡を磨くことが仕事になった。
不思議と私は、この仕事が好きだった。

「ああ…綺麗になりましたね‥‥」

鏡は、磨けが磨くほど、美しく輝きを増していく。
私とは逆のような存在だ。

「ああ…いけません…私のような顔を映しては…」

私は磨いたばかりの鏡に、白い布をかけて、保護をする。
時間になれば、執事さんが取りに来ることになっている。

私の顔にはとても醜い傷がある。
奥様のおかげて、私は、自分の醜さを再確認することになり、ここでこうしている。

「本当に…貴方達は…忠実に…すべてを映し出すのですね…」

どんなに汚れた鏡でも、磨けば、純粋に正確に、残酷に…現実を映し出す。

それでも、鏡を磨く誘惑からは逃れられない…。
これからも私は鏡を磨き続ける…それは私の運命…。



END




あとがき

こんばんは。

今回はちょっと重たい内容です。
そして、ちょっと短いです;;


感想やリクエストなど伝言板記事にいただけたら、泣いて喜びます。





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