Nicotto Town


藤宮ひなののんびりブログw


【短編】涙も全部受け止めるから・・・。

「先輩…こっち向いてください…」
「い、今は無理だよ‥‥」
「‥‥」

先輩の背中がかすかに震えている。



夕方5時、社員がみな帰り始める時間、給湯室の横を通りかかると、先輩の姿が見えた。
声をかけようとするとかすかに、嗚咽が聞こえた。

先輩‥‥また1人で泣いて…。

「お疲れ様です、先輩帰らないんですか?」
「!あ、お、お疲れ様…上村君…」

俺に気づいた先輩が精いっぱい明るい声で答えてくれた。
でも、声に震えは残ったままで、先輩は俺に背中を向けたままだ。

「…先輩…こっち向いてください…」
「ご、ごめんね…今ちょっと手を離せなくて…」
「…先輩…失礼します…っ!」
「え?…!」

俺は、先輩の身体を強引に引き寄せ、顔が見えないようにして、強く抱きしめた。

「う、上村君っ…放してっ…」
「先輩…我慢しないで…」
「!」

先輩は、人に気を使いすぎだ、上司にも同僚にも部下にも、きっと、恋人にもうまく甘えられないのだろう。

でも…それは…辛いですよ…先輩…。

我慢し続ければ、心に負担がかかる。
自分の心にひびを入れつづけ、いつか心が壊れてしまう。

そんなの…黙ってみてるなんて俺にはできない…。

「上村君っ…駄目だよっ…私っ…」
「わかってます、俺のいっっぽう的な気持ちだって。ちゃんとわかってますから…」

先輩の恋人は、俺も憧れるよなすごい優秀な人で、先輩のことも、とても大事に想っているのが伝わってきた。
だから、そんな2人の関係を壊す気なんかない。

「先輩は…悪くないんです。俺のことなんか利用するぐらいの気持ちでいてください…」
「そんな…」

今、自分でもずるいことを言ったと思う。
先輩がそんなことできる人じゃないって、一番わかっているのは、俺なんだから。

それでも、俺は、先輩が大切だから…。

「俺に気なんか…使わなくていいですから…全部受け止めますから…我慢しないで…」

先輩の悲しみも、苦しみも‥‥涙も…全部受け止めますから…。



END




あとがき

こんばんは。

今回は、自分で考えたネタです。
会社での一コマですね。
こんな風に甘えさせてほしいものですよね><



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