Nicotto Town


藤宮ひなののんびりブログw


【短編】私を許さないでください…。

私は最低で臆病だ。

傷つくのが怖いから、人とは深く関わらない。

だから、私が好きだと言って何度も話しかけてくる貴方のことも、最初は苦手で、付き合うようになってからも、実は何かの罰ゲームで、「本気なわけないだろ?」とか言われるんじゃないか、実は私以外に本命がいるんじゃないのか、そんなことを常に考えていたのだ。

だからこれはきっと、そんな私にふさわしい末路なのだろう。

彼と買い物に行って、帰り道、ある騒ぎに出くわした。
刃物を持った男が暴れていて、その男は、何か訳のわからないことを叫びながら彼をめがけて走ってきた。
私はとっさに彼を突き飛ばし、犯人のナイフを身体に受け、その場に倒れこんだ。
無力な私にできた抵抗は、凶器の柄を握りしめ、放さないこと、それだけだった。
私に凶器を手放す意思がないとわかると、犯人はそのまま逃げ去っていった。

「ひなっ…しっかり、しっかりしろっ…」

周りにいた人たちが救急車や警察を呼んだりしている中、彼が私の身体を抱きかかえる。

「どうしてっ…どうして…俺なんかかばったりしたんだよ!?」
「……」

彼の悲しそうな顔を見て、私はナイフの痛みとは別に、胸に痛みを覚えた。

こんなに自分のことを心配してくれる彼を、私はいまだ心のどこかで疑っている。
そんな自分に嫌悪感を覚えながら、私は、薄れゆく意識の中必死に唇を動かし、1つの言葉を口にした。

「……ごめん…なさい…」
「ひなっ…ひなー!…」

貴方を助けたのは、ナイフを放さなかったのは、自分の目の前で人が死ぬのを見たくなかったから。
残されるぐらいなら、残す方を選んだから。
目の前で私の死を実感するあなたの気持ちなど、考えもせずに。

そんな最低な私を…どうか許さないでください…。

END


あとがき

お久しぶりです。
久しぶりの投稿です。
やばいです文章力の低下が著しいです><





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