【短編】誕生日の夜。
- カテゴリ:自作小説
- 2017/06/03 23:12:16
誕生日って特別なものだと思う。
本当ならしっかり計画を立てて、美味しいものを食べて、ご褒美を買って、やりたかったことをして、幸せな一日を満喫したいものだ。
でも、現実はそんなに甘くはない。
必ず休日に当たるというわけではないからだ。
実際、私もここ何年も誕生日が休日に当たらず、満足できる誕生日を過ごしていない。
おまけに今日は、トラブルが重なり、もうすぐ日付が変わろうというのに、私はいまだ、会社のデスクにいた。
「あと2時間か…はあ…」
本来なら、私1人でやる仕事量ではないのだが、周りの人間に外せない用事というものが重なり、結局1人で作業することに。
要するに、安請け合いして自滅しているのだ。
「これ…本当に終わるのかな…!」
膨大な仕事量に、若干心が折れそうになっていた時、頬に冷たい感触があった。
「死にそうだな、藤宮。ほれ、これでも飲んで復活しろ」
「あ、須藤先輩…」
私に栄養ドリンクを差し出してくれたのは、新人の時指導係で同じ部署の須藤先輩。
確か今日は重要な約束があると言っていたはずなのだが…。
「先輩、どうして…」
「思いのほか用事が早く済んでな…悪かったな…1人でさせちまって…さ、終わらせるぞ」
「あ、はい…」
作業を再開すると、1時間もかからないうちに、膨大な仕事が終わってしまった。
いつもながら先輩の能力の高さには驚かされる。
「ありがとうございました。今度お礼させてください」
「お礼されるようなことじゃないって。もともとは全員でやらなきゃならない仕事だったんだ。あ、そうだ。ちょっと待てろ」
「え?はい…」
先輩に言われるまま待っていると、デスクにチョコレートモンブラン1つと、紅茶が置かれた。
「これ…」
「お前、今日誕生日だろ。おめでと。」
「先輩…ありがとうございます…っ」
「おいおい…ケーキ1個で泣くなよ…」
「だ、だって…嬉しいからっ…」
「ったく…可愛いやつだな…お前…」
「!」
貰えると思っていなかった、誕生日のお祝いに嬉しくなり、泣いていると、不意に頬にキスをされた。
「先輩…?」
「藤宮、俺と付き合ってくれ…」
「!……はい!よろしくお願いします!」
ずっとあこがれだった先輩からの突然の告白。
悲惨なものになると思っていた誕生日は、最高の1日として幕を閉じた。
END
あとがき
お久しぶりです。
久しぶりの投稿です。
やばいです文章力の低下が著しいです><