Nicotto Town


藤宮ひなののんびりブログw


【短編】私の小さな騎士

「おねえちゃん…どうしたの?‥‥泣いてるの?」
「ぁ…くうちゃん…ううんっ…大丈夫だよっ…」

部屋で1人で泣いていたところを、弟に見られてしまった。

大学のゼミでミスをしてしまい、落ち込んでいたところを彼氏に振られるという、今日はつらいことが多すぎる日だった。

何とか外で泣くのは我慢できた。
家に帰って来て、部屋に入った途端、涙が溢れてきた。
その声を弟のくうちゃんに聞かれてしまったらしい。

「おねえちゃん…くるしそうだよ…?」
「!…っ」
「わ、お、おねえちゃんっ?く、くるしいよ…」

私はくうちゃんの身体をぎゅっ抱きしめた。

くうちゃんは幼いのに、人の気持ちをとても敏感に感じる子だ。
いつも家族の気持ちを察しているかのように、行動するところがあり、「もっと、わがままを言ってもいいんだよ?」と家族そろって口にしてしまうほどだ。

「くうちゃん…ありがとう…悲しいの…」
「おねえちゃん…よしよし…だいじょうぶだよ…」

くうちゃんの小さい手が、私の髪を撫でる。
小さい手の感触がとっても気持ちいい。

「だいじょうぶ…ぼくがまもってあげるからね…かなしくなったり、なきたいときは、ぼくをよんでね!」
「ありがとう…くうちゃん‥‥」

くうちゃんの優しい声や、可愛い笑顔が、私の心を癒してくれる。
私の周りにいる男のなかでくうちゃんが一番かっこいいかもしれない。

「おねえちゃんはねっ、ぼくのお姫様なの!」
「私が?じゃあ、くうちゃんは王子様?」
「ううん、ぼくはね、おねえちゃんをまもるの!」
「じゃあ、くうちゃんは、騎士(ナイト)だね?」
「??うん!」

言葉の意味はよくわかっていないみたいだけど、私の言葉にくうちゃんは大きくうなずいてくれた。

今、自分の腕の中にいるのは、小さくて、可愛い私の弟。
そして、私の心を守ってくれる頼もしい騎士だ。



END


あとがき

お久しぶりです。
久しぶりの投稿です。
弟君の可愛い感じ出てるといいのですが…。

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