Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


受難節の礼拝


ドイツ語留学をしてみて、
「ああ、私は何も話せないなあ」
ということを痛感。

日を経るに従い、無口になっていく私。
ドイツ語でのコミュニケーションを
避けようとしている私がいました。    ☆\(ーーメ

はっきり言って、練習不足なのです。
語彙や表現がしっかり定着していないから、
話していても、すぐ行き詰まりますし、正確さに欠けます。


でも、それがわかっただけでも、よかったことにしましょう。
次回は同じ轍を踏まないようにすればいいのですから。
そして、もっと練習すればいいのです。


さて、今日のお話。


帰国のための荷作りも終わり、
職員の方に部屋を点検してもらって、
明日退室する旨のサインもして、
さて、ドレスデン滞在の最終日に、
おみやげを買いに出かけました。


「世界で一番きれいな牛乳屋」
としてギネスブックに載っている牛乳屋で
チョコレートを買いました。
ドレスデンはシュトーレンやバウムクーヘンの本場でもあるので、
アルトマルクト(旧市場)のケーキ&お菓子屋さんで
バウムクーヘンをいくつか買って…。


そんなことをしている内に、
時間は夕暮れとなり、
エルベ川の岸辺に立ち並ぶ塔やドームが
夕陽に染まる美しい時間となりました。


何処かへ向かうというわけでもなく、
ただアルト・シュタット(旧市街)の建物の間を
気の向くままに歩き回っている内に、
ふと私は思いついたのでした。


ドレスデン滞在のおしまいに、
フラウエン教会(聖母教会)をもう一度見ておこう。

特別の行事がない限り、
フラウエン教会は6時まで無料で入ることができるし、
フラウエン教会はドレスデンを象徴するような教会だし、
教会内部のとてもやすらぐ装飾と、
壮麗なんですが、清楚で柔らかい感じがする祭壇を、
もう一度見ておきたいから…。


時間は、ちょうど6時15分前でした。
ですので、そのまま私は
ノイ・マルクト(新広場)の真ん中に
夕陽を受けて立つフラウエン教会の中へと入っていったのです。


そして、教会の椅子に腰掛けて、
ドーム状の天井と美しい祭壇を、
ぼんやり眺めて過ごしていると…。


あれ、祭壇上部のパイプオルガンのところに人が…、
やがて、パイプオルガンの調音…、というのかな、
ともかく試運転みたいなことが始まりました。

「パイプオルガンの修理中なのかな」
なんて考えている内に、
教会の人が小さな紙を配り始め…、
その紙には、
「受難節の夕べの礼拝(パイプオルガンの演奏付き)
 引き続きフラウエン教会の紹介、水曜日6時」
と書かれています。


「あ、これから礼拝が始まるんだ。
 パイプオルガンの演奏も聴けるんだ。
 私、信者じゃないけど、
 礼拝とパイプオルガンの演奏は見てみたい。
 いいかな、ここにいて。
 いいわよね、きっと。
 教会は万人に開かれているはずだもの」

と自分に都合よく解釈して、  ☆\(ーーメ
そのまま座っていたのでした。


やがて6時。
教会の鐘が鳴り響き、静まると、
パイプオルガンの演奏が始まりました。


3分ほどの演奏が終わると、
司祭が祭壇に立ち、
歓迎の挨拶
そして、そのまま
旧約聖書の詩編34の朗読
司祭の言葉…


何を話しているのか、
私のドイツ語力では見当もつかなかったのですが、
その時、司祭の声の中に
「フクシマ」「リビア」の言葉が…。


そして、私は気がついたのでした。
この教会の中にいる人で、
明日「フクシマ」がある島へ帰ろうとしているのは
私一人であることを。


ここに私のこと、私たちのことを
気にかけている人が確かにいる。


神のお導きと考えたり、
日本を一人で代表したりするのは嫌いです。

ですが、何かの瞬間に、
「はっ!」と気がつくことはある。


私の知らないところで
私のことを気にかけている人たちがいるのだ。


そう言えば今日、
お世話になった図書館の人に、
「明日、日本へ帰ります」
と告げて、お礼を言ったら、
悲しそうな顔をしていた…。


礼拝はやがて黙祷へ。
祈祷、
主の祈り、
神の祝福、
聖歌、

そして、再びオルガンの演奏へ。


柔らかい音色が、
今、私のもとへも降ってきます。


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2011/03/26 16:13
気づくことの大切さ
気づかされることの幸せを かみしめて・・・
大きな善意と温もりに包まれて在りますように



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