Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


ベルリンで内なる声を聞くこと、発すること


 今日は、私がホームスティしている場所について、
ちょっと話してみようと思います。


 ヴィム・ヴェンダース監督の映画『ベルリン天使の詩』という作品があります。

  とてもいい映画なので、ぜひ見ていただきたいのですが、
この映画はベルリンの壁が崩壊する2年前の西ベルリンで、
セットを使わず、ほとんどロケで撮られているのです。


 『ベルリン天使の詩』のお話。
 都市には多くの天使が住んでいるけど、大人には見えない。
子供だけが天使を見ることができる。
その天使たちが人間の側に寄り添うと、人間の内面の声を聞くことができる。
そんな天使の一人が、
天使の羽を付けたサーカスの空中ブランコ乗りの女性に恋をする。
そして、彼は天使であることを止めて、人間になろうとするのです。


 さて、この映画の冒頭、ベルリン空爆で廃墟になった教会の上に
天使が立っている姿が描かれます。

   この教会はカイザー・ヴィルヘルム記念教会と言って、
動物園駅の近くにあるのですが、この駅が私のホームスティ先の最寄り駅です。


 この駅の周辺には、
ベルリンの目抜き通りである略称クーダム、
そして、動物園駅の東側には
ティーア・ガルテンという大きな公園が広がっています。


 ちょうど東京で言えば、
最先端のお店が建ち並ぶ青山からの表参道を抜けると、
そこには代々木公園が広がっている感じです。


 やはり『ベルリン天使の詩』で、
天使が座っている大きな天使の像が出てきます。

 この天使の像は戦勝記念塔と言って、
ティーア・ガルテンの真ん中に立っています。

 ですから、私が動物園駅から語学学校に行くために、
高架になっている電車に乗ると、
この天使の像を眺めながら電車は走っていくことになります。

 つまり、ベルリンでも、かなりいいエリアに下宿しているのだと思います。


 しかし、『ベルリン天使の詩』でも描かれているように、
ベルリンは様々な人々の複雑に交錯した想いを抱えている都市です。


 たとえば、今日、
電車の向かいに座っていた人は私にはドイツ人に見えたのですが、
彼らが取り出した本はロシア語の文字が書かれていました。

 帰り道、後から聞こえてくる声はフランス語です。
アラビア系・東洋系の顔立ちの人もたくさん見かけます。


 つまり、ベルリンはドイツの首都と言うだけでなく、
世界の交差点のような街なのです。


 ですが、『ベルリン天使の詩』でも描かれているように、
様々な人々は、実に様々な内面の声を発しつつも、
しかし、それらはどこまでも内面にとどまり、
聞こえる声として外に向かって発せられることはありません。


 同様に、ベルリンに現在滞在している人も、
私を含めて皆が皆、それぞれの声を抱えながらも、
誰かと真摯なコミュニケーションを行っているわけではないのです。


 私の現在のドイツ語では、
「昨日何をしたか、明日何をするつもりか、あれが面白くて、これが美味しかった」
なんて言う、たわいのない話を授業の中で交わす程度。

 私が真剣に語らなければならない、私の本当の希望も絶望も、
その核心部分については何も語ることができないのです。


 たとえ、ドイツ語ぺらぺらのドイツ人であろうと、
日本語ぺらぺらの日本人であろうと、
そういう言葉を発することができる人は限られている…。


 深き詩として、言葉を発せよ。

 そのような言葉のみが天使の声となり、人々を深いところで結びつける。


 安寿は今、ベルリンにおいて、
そういう言葉を発せよと、天使に命じられているのかもしれません。

アバター
2014/05/23 19:30
>おにぎりんさん

返事が遅くなってすみません。

たわいのない話もそれはそれで楽しいのですが、
時にはひらめきを与えてくれるような言葉にも出会いたいと思うのです。
アバター
2014/05/19 22:17
こんばんは。

「ベルリン天使の詩」が大好きなので、ベルリンの街の風景を思い描き、
そこで生活している人々について思いをはせました。

深き詩として、言葉を発せよ。
肝に銘じておこうと思います。



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