Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


ポーランド


ポーランドがEUの移民受け入れ案に難色を示していると言う。
去年の今頃、ポーランドにいた。

ポーランドの人は皆、旅行者には親切だった。
サービスが良いとは言わないけれど。

しかし、ポーランドはむずかしい国だと思う。
中世において、リトアニア・ポーランド連合王国として、
ヨーロッパ最大の面積を所有していたにもかかわらず、
絶対王政期においてのポーランド分割によって、
ポーランドは消滅。

1918年の第1次世界大戦終結によって、
国家として復活するも、
第2次世界大戦は、
ドイツによるポーランドへの奇襲によって始まる。

その地、グダンスクも歩いて来た。

しかも、ユダヤ人問題の「最終解決」、
その場所は多くがポーランドに作られた。
そして、少なからぬポーランド人は、
ドイツのみならず、ヨーロッパ全土の、
そして何よりポーランド国内のユダヤ人の排斥に力を貸していく。

しかも、第2次世界大戦終了後、
ポツダム会談によって、
ポーランドの位置は西側にずれて、
現在のドイツ・ポーランド国境線に。
 (ポツダム会談は、
  ドイツ人にとっては、
  日本降伏の最後通達よりも、
  ドイツの国境線を西にずらし、
  冷戦体制を作り上げた会談なのでした。)

その分、ソビエトの国境線もポーランドに食い入る形となり…、

ポーランドは、人工的に作られた国家なのだと思う。
あらゆる国民国家は、人工的に作られた国家なのだが、
ポーランドのことを思うと、その思いを強くする。

ならば、その人工的性格ゆえに、
難民も受け入れて、新たな国民として迎え入れてあげれば…

…と簡単に思うけれども、

『イーダ』という映画。
確かアカデミー外国映画賞を取ったポーランド映画。

そこには、
ドイツに占領されたがゆえに、
それを口実にポーランド人がユダヤ人を排除していく姿が描かれる。

『ブリキの太鼓』という映画では、
グダンスクに居たポーランド人は、カシュバイ人と呼ばれる。

ポーランドという国民国家、
ポーランド人という国民自体が、
一つのフィクションなのだ。
なのに、そのフィクションを作り直すことは、
なぜか難しいらしい。

既得権という奴か。




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