Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


『眠れる森の美女』を見てきました。


先日、新国立劇場で、
バレエ『眠れる森の美女』を見てきました。

これでチャイコフスキーの三大バレエは、
(他は『白鳥の湖』『くるみ割り人形』)
すべて見たことになります。


『眠れる森の美女』、その第2幕は、
真実の愛を求めている王子様が出てきて、
妖精によってこの森に眠る王女様の幻影を見せられて、
森の中に、王女を探し求めていくのですが…、

意地悪な魔女の血筋を引く安寿は、
 「幻影のままの方がいいのよ。
  起こしちゃうと幻滅するのよ。
  王女の方も目覚めない方がいいのよ。
  100年と言わず、200年、300年と眠り続け、
  そのまま即身成仏してしまうのがいいのよ。」
と、ステージを眺めながら、
身も蓋もないことを考えてしまうのでした。

王女の目が覚め、
森に覆われた王宮の呪いが解け、
それ婚約だ、結婚式だ、王権を二人に移譲し、平成が終わると、
今までの長き眠りが何もなかったかのように、
また宮廷の大騒ぎが始まるのが、
なんか嫌だったのです。

それならば、深い森に覆われたまま、
静かに眠り続けていた方が、
ずっと増しなような気がしたのです。


ところが、チャイコフスキーは、やってくれますね。
私の予想を見事に裏切ってくれたのでした。

2幕の後半ラストは、
王女が目を覚ました後の場面になりますが、
いきなり祝宴の場になるのではなく、
まだ夢現心地の二人が、
夢現の気分のまま、
ペアで踊る場面を入れていたのでした。

しかもその場面は、
ヴァイオリンがソロで、
切ないセレナーデを演奏するのです。

あああ~、この展開なら納得できます。


2幕が終わり、
休憩を挟んだ後の
3幕になって、
ようやく祝宴が始まりますが、
この場面はストーリー的には大したことはなく、
むしろ、これでもか、これでもかと、
プリンシパルたちが超絶技巧の離れ業を見せつけて、
劇場全体を大いに盛り上げていくことになります。

私が怖れていたのは、
夢から醒めて、
いきなり祝宴が始まってしまうという、
100年の眠りなど、何もなかったかのような展開でした。

でも、夢から醒めても、
まだ夢現の幻想の中にいるかのようなシーンがあることで、
展開に無理がないし、
眠っていた長い時間が
大切な意味を持つように思います。

長き眠りなど何もなかったかのように
物事が進行していくのではなく、
眠りから覚めたばかりの微睡みを丁寧に描いているため、
眠りもまた、無駄ではなく、
時満ちるまでの必要な時間だったのだと
思えたからかもしれません。

バレエ音楽は、
各シーンのねらいや
物語の展開が意識されているし、
音楽がテンポ良く進むので、
私は好きです。

次は『コッペリア』を見たいなあと思っていますが、
さて、いつになることやら。




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