Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


「飾り窓」と自由について その1


あっという間に、アムステルダム滞在の最終日。

この日は、14時発の特急で、ドイツのデュッセルドルフに向かうため、
チェックアウトした後、荷物をフロントに預けてアムステルダムの街歩き。

まず、アムステルダムの運河巡りクルーズに乗ります。
約1時間のツアーで16ユーロ。
船のオーディオガイドには日本語もあります。
天気はこの日もどんより曇っていて、時々雨がぱらつくような感じ。

船の中は暖かいのですが、外が寒いので、船の窓が曇ります。
そのため、窓際の席には、ワイパーのような窓ふきがおいてあります。
私は窓が開く席に座って、そこから写真をパチパチ。

アムステルダム中央駅のすぐ側から出発して、
駅の裏手の入り江に出た後、運河に入っていきます。
アムステルダムの街は、半円形の運河が、
いくつも街を取り囲む形で出来ていますから、
運河を辿っていくと、ちょうど街をぐるりと廻ることができます。

運河沿いの建物を見ると、
家の正面の一番高いところに梁が突き出していて、
そこにフックみたいなものが付いていることが多いです。

運河から荷揚げするために、昔はそこに滑車が付けられていたのでしょう。
でも、大きな倉庫というわけではなく、
むしろ、倉庫兼住居兼店舗みたいな感じです。
住居や店舗を兼ねていますから、
家の正面、つまりファサードはとても綺麗です。
そう言えば、アンネフランクの家も、
運河に面していて、やはり家の梁が運河に向かって突き出ていました。

クルーズ船で運河を巡った後、
地下鉄に乗り、レンブラント博物館に行きました。
ここも日本語オーディオガイドがあります。

この家は、画家レンブラントが工房として使っていた家で、
当時と同じような感じでレンブラントの住居兼工房が復元されています。

フェルメールやレンブラントの頃、
画家は、まだ芸術家というよりも、職人なんですね。
ですから、工房に何人もの職人を抱えて、
彼らに絵の技術を教えながら、同時に絵の一部分を描かせていたみたいです。
そして、肝心なところは、レンブラントが手を入れて、
レンブラントの絵として完成させるわけです。
現在の日本で言えば、漫画家とアシスタントみたいな関係と言えるでしょう。

決して大きな家ではないのですが、
最上階は4人ぐらいの職人が別々に仕事ができるように仕切られていたり、
大きな絵を仕上げることができる広いアトリエがあったり、
台所や居間も当時の生活がわかるような形で復元されています。

また、当時の絵画制作を説明する係の人がいて、
当時はまだチューブ入りの絵の具がなかったので、
画家が自分で顔料をすりつぶして、
絵の具を調合していた作業の様子を見せてくれたりします。

面白いのは、居間にあったベッド。
当時のベッドは、小さくて身体を伸ばして眠ることができません。
背を壁に持たれ掛けて寝ていたようで、
横になって寝るのは、身体に良くないと考えられていたみたいです。
夜行バスの中で眠っているようで、とても安眠できそうにないのですが…。

ここは、レンブラントの絵画はほとんどないのですが、
かわりに彼のエッチング作品が多く展示されています。
商人の街アムステルダムにとって、エッチングは、
出版物の挿絵や、複製可能であるがゆえに廉価でもある室内装飾品として、
画家の重要な収入源だったようです。

さて、レンブラント博物館を出て、そこから歩いてホテルに戻ったのですが、
その途中に「飾り窓」が集中している地区があります。
旅行ガイドブックなどを見ると、「飾り窓」のある場所は治安が悪いから、
旅行者が夜、一人で足を踏み入れないように書いてありますが、
しかし、土曜日の、しかも、正午近くの時間帯は、
この「飾り窓」地帯も、地元の人や観光客の街歩きで、
ごった返しています。

ですので、ここは、是非とも「飾り窓」を見ておかねば!

「飾り窓」。
それは、扉の向こう、赤紫のような照明に照らされた室内の中に、
下着姿のお姉さんがいて、ポーズをとりながら、
通りを行き交う人たちを見ている場所。
「お客さん」が扉を開いて、なにやら交渉し、
交渉が成立すると、「お客さん」が中に入り、扉のカーテンが閉められる…

つまり、売春地帯なのです。

ヨーロッパでは、ここアムステルダムだけでなく、
ドイツのハンブルグや、現在滞在しているデュッセルドルフにも
「飾り窓」地帯があるのですが、アムステルダムのものが、規模において最大級。

売春は違法ではないのかと思うかもしれませんが、
先に報告した「コーヒーハウス」と同じように、
ここアムステルダムでは黙認、結果的に自由になっているようです。

これは、日本の新聞から仕入れた情報なのですが、
ヨーロッパでは、売春は公認になりつつあるようです。

違法にしておいても、結局、闇で売春が行われてしまう。
闇で売春が行われていると、
搾取という面でも衛生上の面でも様々な問題が発生する。

だったら、売春を公認にしてしまい、
その代わり、「正規の職業」として、
賃金や労働時間、衛生管理等、一定の基準を満たすことを条件にして、
営業を許可してしまった方がよい。

そう考えているようです。

日本で言えば、
食品や店舗の衛生管理において一定の基準を満たしていないと、
保健所によって、食堂の営業許可が取り消されてしまうのと、
同じような扱いのようです。

売春防止法を廃止して、
むしろ風俗営業法の中で売春を管理させる発想なのかもしれません。

  うーーーん、
  だからこそ、これは、
  是非とも見ておかねば。 ☆\(ーーメ) 本音は好奇心のくせに

  で…

  いました、いました。
  目を合わせないようにしながら、
  それでも横目でちらちら見れば、 ☆\(ーーメ)

  … うーーーん …

  美女ではなく、美魔女でもなく、
  これは、単なる魔女ではないでしょうか…  ☆\(ーーメ)

  ヨーロッパの人は、こういう女性が好みなのかなあ  ☆\(ーーメ)
  ならば、私も「営業」できるかも…  ☆\(ーーメ) ☆\(ーーメ)

なんだか動物園で、ガラス越しにパンダを見ているような感じで、
見せ物になり、他人の好奇な視線に晒されている点で、 
         ☆\(ーーメ) お前もその視線を投げかけている一人じゃ

これは、やはり人間の尊厳とやらを傷つけている行為ではないでしょうか。

とはいえ、見せ物という点から見れば、
アイドルの営業活動も、中身はあまり変わらないしなあ。


そろそろ出発の時間が迫ってきたので、
「飾り窓」地帯の散策は、このぐらいにして、
ホテルに戻り、スーツケースを引き取って、
アムステルダム中央駅まで、ゴロゴロ引きずっていきます。

そうそう、今回のホテルには、
次のような言葉が大きく書かれていたのです。

  Some tourists think Amsterdam is a city of sin.
  But in truth it is a city of freedom.
  And in Freedom most people find sin.

  旅行者の中には、「アムステルダムは、罪深い街だ」と思う人もいる。
  しかし、実際は、自由な街だと言えるだろう。
  そして、多く人々は、自由の中に罪を見出してしまうのだ。

これはなかなか含蓄のある言葉ですね。

自由とは何か。
自由の中に、なぜ人は、罪や悪を見出すのか。

続く~。


アバター
2019/02/27 03:44
>うとうとさん

その通り、赤線地帯なのですが、
昔の日本の場合、
赤線地帯は、一応公認されていた場所、
青線地帯は、非公認の場所での闇営業だったらしいのですが、
アムステルダムの場合、公認というよりかは、黙認のようですね。

だからまた、はっきりと、
「飾り窓」地帯が区分けされているわけではなく、
誰でも入っていけるし、
近道と思って、細道を入ったら、
そこが「飾り窓」だったみたいなことが何度かありました。

ドイツの場合、はっきりとエリアが分かれていて、
そこに私などが入るのは、絶対許されない感じがするのですが、
アムステルダムの場合、そのあたりがとてもルーズでした。

うーーん、どちらがいいのだろう?
アバター
2019/02/26 12:51
日本での遊郭、赤線地帯みたいですね。
K本県には震災で建物が崩壊するまで「飾り窓」が存在していました。
私はよそ者なので最近まで知りませんでしたが、ここで生まれ育った人たちの間では
秘密でもなんでもない、公娼館だったのです。
法律で規制したために、抵抗できない子供たちに魔の手が伸びているとも考えられる昨今です。



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