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シン・ドラマ汁


ドラマ【死神くん】

死神くん
テレビ朝日 金曜夜11時15分~
【あらすじ】大事な仕事道具である死神手帳を紛失してしまった死神。手帳の力を悪用されれば、予定外の死を招いてしまう恐れがあり、死神監死官は慌てて人間界へ手帳を探しに出る。その頃、偶然死神手帳を拾った保険の営業マン・島孝一は、手帳に名前が書かれた人物が次々に死んでいることを知る。そんなには、心を通わせている小学生・山本健太がいた。健太の父は病に伏せており、それが原因で学校でも同級生からいじめを受けていた。

【感想】うーん、なんだろう。ドラマの作りはしっかりしてる。大野も無表情な死神くんにぴったりの演技をしてる。ストーリーも死を扱うだけに、少年漫画が原作とはいえ、結構シビアな展開を見せる。子供から大人まで見ることのできるドラマに仕上がっているとは思うんだけど、何か今ひとつ足らない。頭に浮かぶのは、「痛快さ」「きれい事」というキーワード。死神が迎えに行く人は、必ず死ぬ運命なので、最後には必ず誰かが死ぬことになっている。今回は健太の父親と、健太をかばった島が死んでしまった。結局運命には抗えないという諦観と、何の罪もない人間が寿命をまっとうせずに死ななければならない不条理さ、現実で突きつけられるこの2つの真理を、ドラマの中でもひしひしと味わわなければならないため、痛快さに欠けるのである。もちろん現実をそのまま投影したドラマはたくさんあるけれど、死神が出てきて空を飛んだりするような、ファンタジー色が強いドラマで、現実を見せられなければいけないことに、何か違和感を覚えるのだ。例えば同じ大野が主役だった怪物くんでは、こんなことねーよっていうような展開でも、最後に救いが待ち受けていて、それでスッキリすることができたような気がする。あれと同じようなものを求めて見てはいけないね。一方で、鬼のような上司が、結局部下のことを考えていたいい上司だったり、部下が手帳に書いた上司の名前を消したり、いじめっ子がいじめてた子と仲直りしたりと、悪人が一切いないというのが何か嘘臭い。現実には、他人に対して純粋な悪意を抱く悪人がもっといるものだ。彼らには自分が悪人という自覚はなく、自分は悪くない、自分は他人より優秀だ、皆他人が悪い、という考え方をする。最近こういう人たちが増えている。ただ、善人しか出てこないドラマも結構ある。総合すると、人間性にリアリティが乏しいのに、ストーリーは現実的なところに、アンバランスさを感じているのかもしれない。実はドラマに限らず、創作のお話が好きな人というのは、この逆を求めることが多いんじゃないかと思う。キャラにはリアリティがあるけど、ストーリーはちょっと現実離れしているというもの。キャラにリアリティがあることで、存在感、親近感がわき、ストーリーが現実離れしていることで、浮世の憂さを晴らしたり、こんなことがほんとにあったらいいなぁと思ったりするわけである。死神くんは今のところ、その逆を行っているため、見た後の爽快感もなければ、キャラに思い入れもできない。そのへんが、出来はいいけどいまひとつという感覚の原因ではないかと思う。もちろん、個人差はあるだろうけどね。




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