Nicotto Town


私のリュック


退治

今日はいつもの神社で一息ついてから図書館に行った。以前から読みたいと思っていた本を探すためだ。少々手間取ってしまったが、なんとか見つけることが出来た。

 予想以上に面白くて夢中になって読みふけっていると、いつの間にか閉館時間になっていた。夕飯は昨日のシチューが残っているはずだから心配ないだろう。

 本を借りて図書館を出ると、辺りは真っ暗だった。もう春なのに少し風が冷たい。見上げると空は厚い雲が広がっていた。雨に降られては面倒だ。早く帰ろう。
 早足で夜道を歩いた。ぽつりぽつりと外灯が立っていた。辺りはいやに静かだった。

 耐えかねて石垣にもたれていると、今度は二つの黒い影がどこからともなく風のように通り過ぎていった。
 なんだあれは。鳥にしては大きすぎる。

 いつの間にか耳鳴りも頭痛も治まっていた。
 とりあえず帰ろうと思い向き直ると、道のずっと先まで黒い斑点が連なっていた。こんなもの、ついさっきまでは確かになかったはずなのに……。
 なんだろうと思って外灯の下まで行ってその点をのぞき込む。すると明かりに照らされたその点は黒ではなく、真紅の点であった。これは……血だ。誰かの、血。

 この血はきっと先ほど通り過ぎた影のものだ。どちらかが片方に襲われて傷を負い、逃げていたのだろうか?それとも傷を負いながら片方を追っていたのだろうか?わからない。でも、ひどい傷を負っていることは確かだ。私には何者かもわからない。
 でも、助けたい。出来ることなら、助けたい。

 角を曲がると一つの影が目に入った。私は少し距離をとって止まり、様子をうかがうことにした。
 その黒い影は長いマントを着ていて、きょろきょろと辺りを見回していた。
 すると不意に背後からもう一つ大きな影が現れて彼に襲いかかってきた。大きな三日月形の鎌を振りかざす。
 危ない!

 一瞬頭の中が真っ白になった。
 私は無意識に超能力でその大きな影を吹っ飛ばしていた。
 影は電柱にぶつかって地面に崩れ落ちた。カランカランと音を立てて鎌が転がった。

 一呼吸おいて、間一髪で難を逃れた影がこちらに振り向く。その勢いでフードが脱げた。

 「えっ!?」
 あまりの衝撃に私は思わず声をあげてしまった。
 金髪に空色の瞳。今目の前にいるのは、あのときの少年だったのだ。
 そう、神社の階段から落ちた私を助けてくれたあの少年である。

 「君がやったの・・・・・・?」
 彼は落ち着いた声で言った。
 それから身じろぎ一つしない大きな影をじっと見つめながら私の前に出た。
 
 「――危ないから、下がってて。」
 そう言って彼はマントの下から長い剣を取り出し、その刃を相手に向けた。
 影はゆっくりと立ち上がった。その姿はカラスの頭に大きな黒い翼、その瞳は燃えさかる炎のような赤だった。
 私は後ずさりした。

 夜は驚くほど静かだった。
 少年は一瞬でその獣を一突きした。
 獣が悲鳴をあげると同時に黒い羽が飛び散り、その姿は跡形もなく消えてしまった。
 まるでそんなものは最初から存在しなかったかのように。 

 しばらく立ち尽くしていると突然彼の姿が消えた。
 獣を退治し終わった少年が地面に倒れ込んだのだ。
 「大丈夫!?」
 私はしゃがみ込んで彼の体を軽く揺すった。
 その体は傷だらけで、マントは血まみれだった。あの血の跡は彼のものだったのか。

 どうしたら、どうしたら助けられる?この人を助けなきゃ。
 まずはこの傷をなんとかしなくちゃ。出来るかどうかはわからないけれど、やるしかない。
 両手を彼の腕と腹部に軽く触れ、目を閉じる。
 傷よ、治れ。治れ。治れ。治れ!

 目を開けると彼の頬の傷が消えていた。腕と腹部の深い傷もなくなっていた。なんとか成功したようだった。
 でも彼は依然として気を失ったままで、目を覚ます気配はない。このまま放置するわけにはいかない。とりあえず安全な場所につれて行かなくては。
 今度は彼の両腕をしっかり握り、目を閉じた。移れ!


 目を開けると、そこは家の玄関前だった。私は戸を開けて叫んだ。
 「ただいま!」
 そして大きく息を吸ってからもう一度叫んだ。
 「――かおる!いるんだったらちょっと下来て!」
 すると扉が開いて閉まる音がした。

 弟のおかげでなんとか布団に寝かすことが出来た。幸いなことに、この見知らぬ少年について弟は何も聞こうとしなかった。

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