Nicotto Town


としさんの日記


政治・経済その他医療・法律・社会保障制度・いじめや犯罪についての分析、論評などが中心。
また文芸・文学などの随筆が中心。
また、芸能界・芸能人の話題など取り上げます。
硬い文章もあり、くだけた話題も取り上げたい。
愚痴も多いです。

「山男とサーファー」7

 四、 ベースキャンプに着いてから二日目。天候は少しづつ悪化していった。
 聳え立つナンガの威容は完全に雲上に隠れ、時々雪崩の音が腹の底に響く。
 突風が、引きちぎれよとばかりにテントの周りを回り、風の唸る音のみ、ただ辺りを席捲している。
 俺はただ黙々と携帯荷物の点検をしていた。
 作戦会議も幾度...

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「青春地獄篇」2

 「結婚するしないは父の自由です。いくら私が実の子供だといっても、再婚させない理由はありませんからね。それに五年近くも独身でいましたし、何かと不自由なこともあると思っていましたので、再婚する気があるのなら反対するつもりはありませんでしたし、前々から、そのような相手を連れて来るようなことがあっても、嫌...

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「青春地獄篇」1

 序章                                                     
「なに、己に来いというのだな。―どこへ―どこへ来いと? 奈落へ来い。炎熱地獄へ来い。―誰だ。そう言う貴様は。―貴様は誰だ。―誰だと思ったら」「誰だと思ったら―うん、貴様だな。己も貴様だろ...

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「山男とサーファー」6

俺は俺なりに、基礎体力をつけるために、一日十五キロのランニングと五百回の腕立て伏せ、そして鉄棒のぶら下がり及び懸垂(チンニング)の三十分間は欠かさずやってきた。握力をつける為、硬式テニスボールを、常に肌身離さず持ち歩きもした。しかしそれにも増して大変だったのは、いかに高所順応の体を作りあげるかだった...

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「山男とサーファー」5

三、
 
 「やはり、メスナーの開拓したルートが、一番いいのではないか」 俺の所属する山岳会の、最も気のおける山男であり、医師でもあるT氏は云った。
 ラインホルト・メスナー。偉大なるアルピニストの名である。 一九七八年、八月九日、午後四時。
 彼はナンガ・パルバット初の単独登はんをやってのけた。し...

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