Nicotto Town


としさんの日記


政治・経済その他医療・法律・社会保障制度・いじめや犯罪についての分析、論評などが中心。
また文芸・文学などの随筆が中心。
また、芸能界・芸能人の話題など取り上げます。
硬い文章もあり、くだけた話題も取り上げたい。
愚痴も多いです。

「山男とサーファー」最終回

山頂近くにいるから、自分のいる地点から雪崩が起こったことになる。
 遮蔽物が無くなったので、ツェルトはもろに風を受ける。しかし、余りにも頑丈に設置したので飛ばされる心配はない。あとは材質が、どれだけ耐えられるかだ。 「残念ですが、山頂まであとわずかですが断念します。風がおさまりしだい、撤退します。両...

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「山男とサーファー」23

(十一) あいつは孤児だった。
 俺も似たような身分だ。親父の顔もお袋の顔も覚えていない。ただ、俺には母方の祖父と祖母がいた。そして縁の薄い従兄弟のS家。
 あいつはサーフィンで、俺は山で、友ができ、一人前の人となれた。
 祖父母が亡くなって、10か11歳で養護施設で出会い、親しくなった。
 見知ら...

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「山男とサーファー」22

 高度計はすでに八千㍍を越えていた。
 あてにはならない、という事を俺は知っている。雲が凄いスピードで流れていく。
 マイナス30度からマイナス50度へ。
 想像を絶する寒さだ。
 鼻水がすぐ凍る。排便と小用は、極力寝袋の中でやった。面倒でも、ピトンやハーケンを打ち込んで、ザイルとハンモックで吊るし...

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「山男とサーファー」21

山の天候は、すぐに変化する。
 突風が突然襲ってきたり、温められた青氷から湯気が立っていたりする。天候が良ければ良いなりに、雪崩の危険も増す。氷と岩肌と、周りは変化に富んでいる。
 なるべく楽そうなルートを常に捜しながら、足元のアイゼンをガッチリ、ナンガに食い込ませながら、ピッケルを突き立てて登る。...

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「山男とサーファー」20

十 そこで俺は、ふと目が醒めた。
 ナンガのふところに抱かれて、俺はビバークしていた。
 雲が切れて紺碧の空が見える。 『なんて夢だ』 俺は苦笑いを浮かべて、青氷を削り取り、コンロで氷を溶かして、コッヘルにコーヒーを入れゆっくり飲む。薄い酸素の元では火力が弱まり、低高度での五倍以上の時間をかけて水に...

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