Nicotto Town


としさんの日記


政治・経済その他医療・法律・社会保障制度・いじめや犯罪についての分析、論評などが中心。
また文芸・文学などの随筆が中心。
また、芸能界・芸能人の話題など取り上げます。
硬い文章もあり、くだけた話題も取り上げたい。
愚痴も多いです。

「山男とサーファー」19

なるほど、そう云われてみれば、だんだんと暖かくなってきた。汗をかくほど暑いとは思われないが、あいつの云う通り暖かい。 「さあ、ニック、そろそろワックスをかけるぜ」
 俺はお守りを取り出す。あいつのボードの破片。確かにここにある。すると、あの三本のうちの一本はなんなのだ。確かにヘシ折れたあいつのボード...

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「山男とサーファー」18

九 無酸素登攀では七二〇〇㍍が、人間の限界点。長時間は居れない。時間と共に肺に水が溜まる。少しでも氷を溶かして飲まねばならない。血液が濃くなり、肺水腫になれば死の危機さえあった。いずれにせよ、俺は5日間で登頂を極めなければならなかった。
 高所順応ができていても、ほとんど無酸素登攀に近い状況では脳が...

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「山男とサーファー」17

 一八九五年。英国人ママリーによって、初めて八千㍍峰の挑戦が始まった。
 一八九五年は日本の元号では明治二十八年である。
 チョモランマやK2ではなく、14座ある八千㍍級(クラス)の中で、ナンガ・パルバットが、最初に人類の標的にされたというのは、どういった理由があったのであろうか。
 ノーマンコリー...

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「山男とサーファー」16

 八 ついに決行の日が来た。満天の星ぼしのきらめきは次第にうすれてゆき、白々と夜が開けていく。
 魔の山ナンガは、薄明の中に、その壮大なシルエットを浮かべていた。
 黙々と荷物の点検を続けている俺は、背中に四人の男たちの熱い視線を感じた。すべてを完了した俺は、M君のさしだす熱いコーヒーを受け取り、無...

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「山男とサーファー」15

一晩たって、ナンガは変容していた。昨日の顔はもうそこにない。恐れていた結果が現実として起こった。
 俺は絶望的な気分になった。新ルートをあらたに捜しださねばならなくなった。
 BC(ベースキャンプ)に着いてから三日目。天候は悪化。
 一日、二日、三日、更に過ぎる。天候依然変わらず。四日目にして、よう...

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