Nicotto Town


モリバランノスケ


時代

熱弁を振るった為であろう。老クスノキは、(少し、休ませて欲しい)と、皆に向かって、一言。
周りで話を聞いていた者たちは、彼の樹齢を考慮してか、(良いですよ)と、言いたげに、顔を見合わせて、うなずき合っている。

皆の周りを、爽やかな風が、サァーっと通り抜ける。少し離れた場所に、桜と梅の巨木。桜...

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大鷹

私は、タローから相談を受けて、自分でも同様の事を考えていたので、その偶然の一致に、少なからず、驚いた。然しながら、ときが流れ、その頃とは時代の趨勢も変化している。はたして、その男は変わってはいないだろうか?

私が、昔を懐かしむように振り返っていると、リスのポン太が、(それは、どのような人物だっ...

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回復

再びお蝶が、老クスノキに語り掛けた。

お蝶 (少年が完治したのは、何時ですか?)
老楠 (そうだなあ。翌年の春だった、と思う)

老クスノキは、昔を懐かしむように語りだす。

少年は、森の皆んなから、心からの手厚い看護を受け、日に日に、心と身体の健康を回復していった。翌春には、タロー...

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憔悴

熱弁を振るう老クスノキは、少し疲れたのかも知れない。真青に透き通った宇宙を見上げるかのように、空に向かって、大きく深呼吸した。
その時、一陣の風が、彼の頬を撫ぜる。新芽達も、気持ち良さそうに、身を風に預けている。

その間に、満を持していたかのように、聴いていた皆が、次々と質問を投げ掛けた。中...

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少年

私達は、恒例の朝散。ベランダを出ると、何時もは、左側に進むが、今朝は、右側に。先ず、旧くから馴染みのある、モミジに(おはよう)と、挨拶した。そして、その下に息づき、毎年五月になると、白い花で彩りを放つ、さつきにも。

それから、杉、檜、等の高木達に挨拶しながら階段を使い、斜面を下る。そこには、正...

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