Nicotto Town



紫陽花の彼女I

白い衣裳をふわりゞと風に靡かせて、寸法(さいず)の合わない真っ赤な靴を履いて、まるでこの世の全てを憂う様なそんな顔をしていた。彼女と出会ったのは丁度、梅雨の昼下がりの湿気が嫌に纏わりつく、そんな日だった。
彼女は名を名乗らなかった。正確に言えば、自分の名前を知らなかった。 私は人の固有名詞なぞに興...

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