Nicotto Town


COME HOME


日日是悪日

One and Only

うららかな春の陽ざし。ぬくもりを孕んだ気まぐれに吹く風。揺れる緑の梢。
こんな風に周りが煌めく日は、無償に彼女に会いたくなる。
異形の子、とルルは周りから忌み嫌われていた。
まず真っ先に目を引くのがその白い髪。
まるで妖怪だ、と一度血も涙もない輩に不吉だとばっさりと乱雑に切られてしまったそれは、今で...

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「ワールズエンド・ダンスホール」

ナンだろう、この墜落感。
ぐーるぐーる、ぐーるぐーる。
渦の中に放り込まれて、落下していく感覚。
螺旋状に軌道を描き、真っ逆さまに急降下。
もちろん辺りは真っ暗というオプション付き。
まるでいつかの終末をこの目にしているよう。良いことなんて、何一つ無い。

 正しさを喪っていく。

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「しあわせはすぐとなり①」

がたんごとん、がたんごとん。

電車が揺れる。
窓の向こうで、鄙びた景色が一定の速さで流れていく。
車内はほぼ無人で、向かいの座席を利用する人はいない。同じ座席には私達の他に、うたた寝をする部活帰りと見受けられる学生が一人。
その他まばらに、携帯をいじる若い男性や、文庫本を開く中年女性がいたりする。...

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「きみが隣にいるだけで」

時刻は午後十時過ぎ。
塾帰りの北林透と、安藤双葉は初冬の夜の寒さに震えていた。とうの昔に冬服に衣替えしたものの、夜風は容赦なく着込む身を凍らす。主に、寒さに弱い安藤の。
墨汁を垂らしたような夜空には、チカチカと星が瞬く。
地上は頭上よりもずっと明るい光が三々五々に輝いていた。
そのまばゆい夜の中、二...

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「茜色の憂鬱」

どうしてこんなにも、夕暮れはさみしいのだろう。昼と夜のほんの少しの合間にしか、その名は許されない。鮮やかな紅から橙へのグラデーションは、あっという間に藍色に塗り替えられてしまう。
寂寥、寂寞。
そんな言葉が、妥当なところだろう。愁いを帯びたこのオレンジには。そして、その一瞬のせつなさの存在に己は思い...

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