「今、考えりゃあ高校生活なんかあっと言う間に過ぎて行ってしもうた気がするのう」
桐島マモルがしみじみといった表情でそう言ってビールを飲み干したジョッキを
テーブルに置いた。
手書きでメニューと値段が書かれた貼紙が並んだ壁の端の柱に掛かった時計を
見ると、夜の九時が近付いていた。
まだ、夕刻に...
「今、考えりゃあ高校生活なんかあっと言う間に過ぎて行ってしもうた気がするのう」
桐島マモルがしみじみといった表情でそう言ってビールを飲み干したジョッキを
テーブルに置いた。
手書きでメニューと値段が書かれた貼紙が並んだ壁の端の柱に掛かった時計を
見ると、夜の九時が近付いていた。
まだ、夕刻に...
腕時計を見ると午後の八時を少し回っていた。
JRの駅から数年前に閉山された鉱山の麓にある小さな町まで行く最終のバスは
長く続く山裾とすぐ真下を流れる川に挟まれた真っ暗な道路をゆっくりとカーブを
描きながら走り続けている。
窓の外の闇の中で窓から漏れる照明の光に照らし出されたすぐ間近の路側線や
ガ...
「で、そこの店がさあ、何か妖怪とかが店内に
一杯飾ってあって、それに驚いて固まってたら、そこの
金魚を頭に載せた、ブラッド・ピット似のマスターが
(何かようかい?)とか言うんだよ。」
「ふーん。
・・・金魚を頭に載せたブラッド・ピット似のマスターねえ・・・」
「お前のその話・・・」
・・・
...