波音
- 2025/09/22 00:07:01
投稿者:Litsu☆
夜の浜を少し歩いた。
波音が絶え間なく、心地よい風を漂わせ頬を撫でた。
もう何処とも分からない水平線の遥か上に、二つの月が輝いている。
蒼く‥冷たい‥微光が、細かな粒となって、わたしの半身に舞い降りてくる。
髪を上げ、わたしはじっと夜空を見上げた。
この星の特徴だ。二個の巨大な衛星が、仲良くともにまわっている。
太古の昔‥大きな迷い星が衝突して、大きな二つの破片となって
ともに衛星としてまわり続けるようになったらしい‥
ああ‥どうしてそんなことを知ってるんだろう?
ああ‥記憶を消される前に、教えられたのか? 刷り込まれたのか?
‥いつだっけ?
わたしがここに飛ばされたのは、もうずっと何千年も前だったろう。 ‥ちがう?何万年?
あの月のように、迷い星よろしく、この星にいつか誰か、辿り着くのだろうか?
そしてともに、この星の周りをまわり続けることになるのだろうか?
二つの月‥‥になって。
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