Nicotto Town



鮮明な冬


今日は連休何で取り合えずネタになりそうなニュースも少ないし詩でもいかが??
当時の人たちの気持ちをくみ取って下され~!!

高村光太郎 昭和16年12月10日作、昭和17年1月の『改造』に発表

鮮明な冬

     この世は一新せられた。
  黒船以来の総決算の時が来た。
  民族の育ちがそれを可能にした。
  長い間こづきまはされながら、
  なめられながら、しぼられながら、
  仮装舞踏会まで敢てしながら、
  彼等に学び得るかぎり学び、
  彼等の力を隅から隅まで測量し、
  彼等のえげつなさを満喫したのだ。
  今こそ古しへにかへり、
  源にさかのぼり、
  一瀉千里に奔流となり得る日が来た。
  われら民族の此の世に在るいはれが
  はじめて人の目に形となるのだ。
  ひよどりが鳴いてゐる、冬である。
  山茶花が散ってゐる、冬である。
  だが昨日は遠い昔であり、
  天然までが我にかへった鮮明な冬である。




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