韓国ドラマ「宮」二次小説「新しい息吹」
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/04/06 00:10:11
韓国ドラマ「宮」本編の続きを妄想して書いてます。
二次小説が苦手な方は回れ右!でお願いします。
yahoo!ブログからの転載です。
「シン君!シンくーん!」
自分を探す妻の声に、窓を開けて答える。
「ここだ、チェギョン。」
明善堂の窓から手を振る夫を見つけて、チェギョンは階段を駆け上がった。
「ここにいたの?わぁ、なんにもないじゃない。本は?どこ行ったの?」
今まで所狭しと置かれていた古い本たちが跡形もなく、なくなっていた。
「父上に引き取ってもらった。言ってあっただろ?補修するって。」
「あぁ、そういえば・・・でも、お父様にご迷惑じゃないの?」
「迷惑じゃないさ。」
「ふーん、ならいいけど。」
なにも知らないチェギョンはそれ以上なんの疑問も湧かなかったらしい。
「けっこう広いんだね。補修工事ってなにするの?すごく変わる?」
「いや、耐震工事が主だから、特に大きくは変わらない。」
「そっか、この雰囲気、好きだから良かったー。」
くったくなく笑うチェギョンに、シンは複雑な気持ちになる。
シンにとっては、一つもいい思い出がここにはないから・・・。
「工事が終わったら、何を置くの?」
「読み終わった本とかかな。やっぱり書庫になる。」
「そっか。」
「東宮を広くしないといけないしな。」
「そう?十分、広いよ。」
のんきにチェギョンはあくびをする。
そんな妻を、シンはあきれたような表情で見つめる。
「・・・なんか気持ち悪い。」
チェギョンの顔から笑顔が消えた。
「大丈夫か?」
シンはチェギョンの肩を包む。
「うん・・・。お菓子食べてすぐ走ったからかな?すぐ治るよ。」
チェギョンはシンに心配かけまいとおどけて笑うが、シンの顔は真剣だ。
「戻ろう。」
「うん、・・・っう、」
今度は吐き気がチェギョンを襲う。
シンはチェギョンを抱えて階段を降りた。
「うっ、げほっ」
チェギョンは堪えきれず、芝生の上にさっき食べたお菓子を吐き出した。
「妃宮さま!」
チェ尚宮たちが駆けつけてくる。
「・・・ごめん、シン君。もう大丈夫、出したらすっきりしたよ。」
チェギョンは自分の背中をさするシンの手を握った。
「チェ尚宮、医務に連絡を。僕が連れて行きます。」
「かしこまりました。」
「シン君、もう大丈夫だって。」
「それから、」
シンはチェギョンを無視して、チェ尚宮に言う。
「妃は妊娠している可能性が高いことを伝えておいてくれ。」
「へ?」
シンの言葉にチェギョンは固まる。
チェ尚宮はうすうす感じていたのか、特に驚く様子もなく、医務に連絡をいれた。
チェギョンはシンに抱えられたまま、ゆっくりと運ばれていた。
「・・・ねぇ、シン君。あの、わたし、妊娠してるの?」
「俺の予想では、7週ってとこか。」
「えぇ!?ほんとに?」
チェギョンは目を丸くして驚く。
「お前、3日ぐらい前から朝起きると気分が悪そうだったろ?」
「うん・・・。でも朝ごはん食べたらすぐ治ってたから、おなかの空きすぎだと思ってた。」
「・・・はぁ、」
シンは大げさにため息をつく。
「え、でもなんで、シン君がわかるの?」
「馬鹿か、お前。子供は女一人で作れるのか?」
「そ、それは、わかってるけど、」
チェギョンは顔を真っ赤にしてシンの胸にうずまる。
「なぜか俺にもよくわからないが、なんか予感みたいなものがあったんだ。」
「予感?」
「俺とお前が一つになって、幸せで幸せで・・・。ものすごく優しい気持ちになった夜が
あったんだ。その時、ああ、子供ができてるといいなと思った。」
「シン君、わたしはいつでも幸せで、優しい気持ちになるよ?」
チェギョンはなんか不服そうな顔をした。
「ん?いや、俺もいつもだが。あの夜はいつもよりそう思ったんだ。
ああくそ、上手く説明できないな。」
シンはいつものクールな顔が完全にくずれていた。
「ふふ、わかったよ、シン君。」
チェギョンの微笑みがあまりにも美しくて、シンは思わずkissをする。
「・・・シン君、さっき吐いたのに・・・。」
恥らう妻に、もう一度kissを落とした。
夫の予想通り、妻は妊娠していた。
「な?だから、東宮を広くしなきゃいけないんだよ。」
シンは嬉しそうに、笑った。
楽しみに待ってます