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韓国ドラマ「宮」二次小説 コン内官の呟き


韓国ドラマ「宮」二次小説
コン内官の呟き
yahoo!ブログからの転載です。
二次小説が苦手な方は回れ右!でおねがいします。


 本日、皇太弟殿下にお伝えしなければならないことがございます。
 午前の執務を終えられて、妃殿下と昼食後の団欒のひとときにお邪魔するのは
 大変に気が引けることでこざいますのに、このお伝えせねばならない内容が
 殿下のお気に触ることが分かっておりますゆえ、さすがのわたくしも、
 このドアをノックするのをためらってしまうのでございます・・・。

「どうしたんですか?コンおじさん。」

 びくっ!

「妃、妃殿下・・・。」

 まだ心の準備が・・・。コン内官は思わず固まる。
「デ、デザートはもうお召し上がりましたか?」
 声が上ずる。
「はい、いただきました!」
 チェギョンの笑顔を見て、天使のようだと思う。
「もうひとつお召し上がりますか?持ってこさせましょう。」
「え!いいんですか?」
 ま、まぶしい・・・。こんな笑顔を拝見できるならケーキのおかわりなどいくらでも・・・。
「だめだ。」
 シンの冷たい声がチェギョンの上から降ってくる。
「食べ過ぎると血圧が上がる。コン内官も甘い顔しないでください。」
 シンの隣でチェギョンの頬が膨れる。
「申し訳ありません。出すぎたことを申しました。」
 コン内官は萎縮する。だが、太皇太后様からのお言葉はお伝えしなければならない。
「なにか用ですか?」
 シンがたずねる。
「はい。太皇太后様からのご伝言を申し上げます。
 妃殿下様のご懐妊がはっきりいたしましたので、本日より、寝室を別にするようにとの
 ことでございます。」
 コン内官は心の中ではドキドキしながらも、いつものように淡々と言葉を発した。

 シンの顔色が明らかに変わる。
「別にするって、それは僕と妃の寝室を、ですか?」
「左様でございます。」
「いつまで?」
「宮様が御生まれになるまででございます。」
「・・・・・・・・。」

 ここはシベリアだろうか・・・。

 黙ったまま凍て付いたようなシンの表情に、コン内官もそれ以上言葉が続かない。
「それって、しきたりですか?」
 沈黙を破ったのはチェギョンだった。
「左様でございます。」
「うーん、どうしようか、シン君?」
 チェギョンはシンを見上げる。あー、怒ってる怒ってる。
「コン内官。今すぐ太皇太后様と女王陛下にお目通りを。」
「い、今すぐでございますか?」
「今すぐです。」
 有無を言わさないシンの口調に、コン内官は胃がきゅっと縮んだ気がした。

 それから皇太弟は太皇太后と女王に粛々としきたりの廃止を願い出たのだった。

「よかったぁ、別々の寝室にならなくて。」
 ほっとするかわいい妻を胸に抱き、シンは微笑む。
「今更、チェギョンなしで寝られるわけないじゃないか。」
「そうよねぇ~。わたしもシン君といっしょじゃないと眠れない!」
 それはどうかな・・・?と思いつつ、シンはチェギョンのこめかみにkissを落とす。
「それにしても。
 みんな口を揃えて、チェギョンになにかあったらいけないから寝室を別にしろなんて・・・。
 俺はばい菌かウイルスか?俺といっしょに寝て、何があるっていうんだ?」
「きゃはは、」
 シンの真剣な言葉にチェギョンは笑い転げる。
「笑い事じゃないだろ?なんてばかげたしきたりなんだ。」
「うん、ばかげてるよね?でも、おばあちゃんもおねえさんも許してくれたからいいじゃない。」
「まぁ、いいけど・・・。」
「ねぇ、こうやって、変わっていくんだね。皇室も、わたしたちも。」
「・・・そうだな。」
 新しい風を、これからもチェギョンと共に吹かせていけたら・・・。
「お前はやっぱり、すごいよ。」
「ふふ、そう?」
 いかんいかん、あまりほめると調子に乗るからな、こいつは・・・。

「大好きだよ、シン君!」
「俺も、愛してるよ・・・。」
 シンはチェギョンを抱きしめ、深い口付けを求め、顔を近づける。
「あ、シン君・・・。エッチは、安定期に入るまで、だめだよ・・・。」
 チェギョンは恥じらいながら、シンを牽制する。
「わかってる・・・。キスだけ・・・。」
「・・・ん、」
 シンは甘い甘い口付けをチェギョンに与えながら、ふと思った。

 ・・・これは、寝室が別ってことよりも、忍耐が必要なのでは・・・?

 その夜、コン内官は久しぶりに胃薬を服用した。

 明日の朝、妻におわずけをくらい、夫の機嫌が悪いということが、
 簡単に予想されるのでした・・・。




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