も少ししたら腐る予定w 6
- カテゴリ:自作小説
- 2012/06/16 20:11:35
町へ戻ると忙しいと言う町長の代理人に砂虫の死骸を確認してもらい、後金を受け取る。
この死骸をどうするかは町が考える事で、そこまでティーグの関知するところではない。もちろん、
追加で報酬を出してくれると言うのなら話は別であるが。
町長の屋敷に与えられた部屋へ戻ると、セルカが不安そうな顔をしてちんまりとベッドに腰かけていた。
戻ってきたティーグの顔を見てほっとしたように息をつくと、ベッドから降りて「お帰りなさいませ」と言う。
この他人行儀な出迎えに、セルカのほっとしたような表情に和んだ気分も急速に冷えて行く気がする。
「もうお仕事は終わったんですか? お疲れさまでした」
ティーグが帰って来て僅かに嬉しそうな表情はしたものの、言葉遣いや態度はどうにも他人行儀だ。
「ああ。大して難しい相手でもなかったからな」
そう言うティーグの荷物を受け取り、上着を脱がせ、ぱたぱたと部屋から出て行ったと思ったら、水を張った盥を持って来て、それに浸した布でティーグの顔や手足を拭い始める。
これではまるで本当に召使いではないか。
実際町長の一家も最初はセルカを召使いだと思い込み、食事時、主と同じ食卓にはティーグの分のみの食事が用意され、セルカの分は町長宅の召使いと同じく台所に用意されていた。
その時、ティーグがセルカは自分の召使いではないと説明しようとしたのだが…
「あ、あの、ティーグさん。俺、台所で食べますから」
セルカにそう言ってそそくさと逃げられ、食事の後で何故一緒に食べなかったのかと説明を求めても、うつむいたまま「あの…その…」を繰り返すばかりで、うっかりついたため息にはまた怯えられた。
「セルカ、ちょっと座れ」
かいがいしく自分の世話を焼こうとするセルカの腕を取って止め、ベッドに腰掛けさせる。
「出かける前に戻ったら話があるって言ったの、覚えてるか?」
「あ、はい」
ティーグに言われるまま大人しく腰かけたセルカが、こくんと頷く。
「お前さ…元いたあの家に戻るか?」
自分とこのままいるよりはその方がいいかもしれないと苦い思いを胸に口にした言葉に、セルカが目を見開く。
「もしもお前がおれと一緒にいるよりあの家…お前が暮らしていたあの家の方がいいって言うんなら・・・・・」
そこまで言ったところで、ティーグはセルカが涙をぼろぼろこぼしているのに気がついた。
「セルカ?」
ティーグが掛けた声にセルカはハッとすると、あわてて手で涙をぬぐおうとする。
「ご、ごめんなさい…」
だが涙は後から後からこぼれてきてとてもぬぐいきれるものではなく、ついには声を上げて泣き出してしまい、その様子にティーグは困惑していた。
これは一体…最初は帰れるのを喜んでいるのかと思ったが、どうも喜んでいるようには見えないし、かと言って、とても気を許してるとは言えないような状態のティーグの元に泣くほど留まりたいと思ってくれているともどうしても考えられなかった。
訳がわからないが、とりあえず泣いている子供への対応に困惑しつつ背中に腕を回しそっと抱きしめると、セルカはティーグの服にしがみついて、泣きながら「ごめんなさい」と繰り返した
そうそう、まさにそんな感じです。
素直に表現するのが怖いんですよ。
シフォンさん、今晩は。
自分たちだけでも生活が苦しいのに~と、邪魔者扱いでしたから。
ティーグは割と人の気持ちがわからないです^^;
ゐ故障中さん、今晩は。
>男泣き用の
そう言われると、なんかものすごく分厚いような気が^^;
ティーグさんはセルカちゃんが心を許してないと思ってるかもしれませんが
そんなこともないように思えます^^