Nicotto Town



ありま日記

10月も終わり近づくと、過ごしやすいと言うよりは少し寒さを感じる。

時折冷たい風が吹き抜ける様になった、午前0時近くになっても
今日は土曜日なので三宮の東急ハンズの辺りは、多くの人が
行き交っていた。

僕は同じバイトをしている、短大生の日出子さんと神戸市営地下鉄の
階段を降りて、自動改札を抜けてホームの方へ降りて行った。

すぐに、最終の谷上行きが入ってきて、僕と日出子さんはそれに
乗り込んで、開いている座席に並んで座った。

「それにしても、アズマ君って高校生なのに、こんな時間まで
 よく頑張るね。」

走り出した、地下鉄の中で日出子さんが言った。

「頑張って、稼いだらその分だけ、いろいろ買ったり、いろんな事を
やったり出来ますからね。」

僕が答えた。

「でも、アズマ君って、大学に進学するんでしょう?
 
・・・勉強とか大丈夫なの?」

「別にそんなにいい学校に入りたいとか、思ってないですし、まだ2年生
ですから。

・・・勉強なんて、学校の授業で、もうたくさんだし大体僕がそれほど
頑張ってもそんなに学力なんて上がらないですよ。」

大体、家に帰ってまで、勉強なんかしたって、それでテストの点数は
少々上がるかも知れないが、ただそれだけの事の為に、余計に
しかも多大な努力を払うのは、時間とエネルギーの無駄遣いの様に
僕には思える。

そんな事をしているよりは、自分の買いたい物や、やりたい事の為に
アルバイトでもしている方がマシな気がする。

大体、家で一人で黙々と何時間勉強した所で、山口の親元を離れて
神戸で暮らしている女子大生と仲良くなれる機会なんてある筈が無い・・・
と、僕は思った。

地下鉄の電車が谷上に到着して、僕と日出子さんは、神戸電鉄に乗り換える為に
階段を上がって三田方面のホームの方に歩いていった。

ホームから見下ろせる国道の向こう側の真っ黒い山肌のずっと上の方に
満月に近い月がくっきりと浮かんでいた。

神戸市内と言っても、六甲山の裏側に来るとのどかな物で、辺り一面で
虫の鳴き声が聞こえる。

10分位して、三田行きの最終電車がやってきて、僕と日出子さんはそれに
乗り込んだ。

「今日も家に帰ると一人なの?」

電車が走り出してから、しばらくして日出子さんが僕に聞いた。

「ええ、そうですね。」

僕が答えた。

僕は父と二人暮らしで、有馬温泉の温泉旅館で働いている父親は今日は
夜勤なので家にはいない。

「こんな時間に家に帰って、誰もいないのは寂しいね。」

「でも日出子さんも今は一人で暮らしてるんですよね?」

「そう・・・先月、ルームシェアしてた、同じ学校の子が他に移っちゃったから
今は一人。」

そんな事を話している内に、電車は有馬口駅を出て、真っ暗な山あいの谷間を
有野川沿いに北上して行った。

五社駅を出てしばらくして、電車はコンクリートの高架の上を走りやがて岡場駅に
到着した。

僕と日出子さんは電車を降りて、ホームから階段を下って改札を抜けた。

「それにしてもおなか空いたなあ。」

改札を抜けた所で日出子さんが言った。

いつもは三宮で一緒に何か食べたりしてたけど、今日はいつもより遅くなったので
そんな時間が無かった。

「どこかで、何か食べてから帰りますか?」

機を逃さずに僕が言った。

「んー?どうしようかな?」

日出子さんは少し考えて、それから言った。

「どうせ、明日は・・・あ、日付変わったから今日か。今日は日曜なんだしさ。
アズマ君、今日これから、ワタシの所にゴハン食べに来る?」

「え、いいんですか?」

僕は少し驚いて言った。

「別にいいよ。どうせ、帰ってもワタシ一人しかいないんだし。」

事もなげに日出子さんが言った。

そう言う訳で、僕は有野台の高台の方にある自分の家には帰らずに
まず、コンビニで買い物をする事になった。

僕は日出子さんと並んで、西口の方に向かって歩きながら、家で勉強なんか
しているより、外でいろんな事をしている方が何が起きるかわからないから
面白いとつくづく思った。

「アズマ君って、ビール飲めるんだっけ?」

コンビニの中で、日出子さんが僕に尋ねた。

「友達の家とかでたまに飲んだりしてるから大丈夫ですよ。
・・・現在の高校生には息抜きが必要ですからね。」

僕が答えた。

「じゃあ、今日は日出子おねえさんが特別にご馳走してあげるよ。」

日出子さんはそう言ってビールの500缶を何本か籠に入れた。

コンビニを出て、神鉄の高架をくぐって、線路沿いの道を日出子さんの
アパートがある、有馬警察署の方角に歩いて行った。

今まで僕はまだ、人生の大きな関門を通過していなかった。

(確か、年末近くに「有馬記念」と言う競馬の大きなレースがあったと思うけど
 今日が僕にとっての(有馬記念)の日になるかも知れない・・・
 いや、グランプリを獲得出来るかどうかは僕の次第だ・・・)

僕は日出子さんと並んで歩きながら、そんな事を考えて内心緊張していた。

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2012/11/02 00:35
あ~~~ん いいところで止めるな~~ 暴れるで~~ジタバタ ジタバタ

神戸の方なのですか?? とっても詳しいし・・・・・ 
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2012/11/01 22:35
そこから先をあえて語らないのがオツというものですね^^
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2012/11/01 22:24
うはw
一番ドキドキする場面で終わらせたのですねww
グランプリ、獲得を希望!!
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2012/11/01 20:36
つまらん。( ⓛฺ m ⓛฺ )
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2012/11/01 19:38
ワクワク(o^^o)

次回作が気になります(▰˘◡˘▰)*。。゚。*・。☆
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2012/11/01 11:50
あ。 ここで終わるの??

ここから盛り上がるのかと思ったぁ^^;
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2012/10/31 22:42
競馬のパロディかしら?

最後の例えがよくわからない~っw
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2012/10/31 20:57
あと一歩で村上春樹の世界
とめましたね^^



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