Nicotto Town



年末だと言うのに腐ってみました 2

遠矢1

目の前がいきなり明るくなったと思った途端、ドサッと地面に叩きつけられた。
ずいぶん長い距離を落ちてきたような気がした割には、衝撃はほとんどなかった。
(一体、ここどこだろう?)
いつのまにか強く閉じていた目を開け、あたりを見回そうとした時、上から何か落ちてきた。
「いってーな。そんなところにぼさっと突っ立ってんなよ」
落ちてきたのは、人間だった。 と言うか、俺、座り込んでたんだけど…。
「なんでもいいから、オレの下からさっさとどけよ」
「いやあの…まずそっちが降りてくれないと、動けないんだけど」
なにしろ俺は、彼の下敷きになっている訳だし…。
「手間のかかるヤツだな」
彼はそう言うと立ち上がり、俺に手を貸して立たせてくれた。
意外といい人なのかも。
それにしても、和也さんはどこに行っちゃったんだろう?

その時、部屋で聞こえてたあの声が響いてきた。
「ファンタジーツアーへようこそ。
これからあなた方には、一緒にこちらへ来られたお友達、もしくはご家族を探す旅に出ていただきます」
え、と言う事は和也さんと別行動?
なんだか急に不安が増してきた。俺、ちゃんと和也さんを探せるんだろうか。
「現在一緒にいるその方のお相手もあなたのお相手と一緒にいますので、力を合わせて再会を目指して下さい。
もしも途中でリタイアされたい時は、その旨を告げていただければ、すぐに元の世界へ戻させていただきます。
その際は、相手の方も一緒に送還となります。
では、この世界の地図を差し上げますので、頑張って再会を目指して下さいませ」
そこまで言うと声は沈黙し、それと同時にひらひらと地図が舞い落ちてきた。

「つまり、あんたと一緒に旅しなきゃなんないってことか」
横にいた彼がそう言った。
「あ、うん。よろしく」
「ああ。でもオレ、あんましあいつに会いたくないんだよな~」
俺が差し出した手をパンとはたくと、彼はそう言った。
「でも捜さないと帰れないし。あ、リタイアすれば帰れるけど」
「あんたは会いたいの? その相手に」
俺が頷くと、彼は「じゃあ、しょうがないから付き合ってやるよ」と言った。
「改めてよろしく。オレは、高村透矢。あんたは?」




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