Nicotto Town



年末年始に腐ってみました 終

すみません、ヘタレたので今回もコメント欄閉じてます(;一_一)ゞ


和也5

「なんでお前がここにいるんだよ? てかここどこだ? て言うか、何より先ず離せーっ!」
「やかましいっ!」
折角いい気分で寝てたと言うのに、宿中に響くような大騒ぎで起こされた。
怒鳴りつけてベッドから起き上がると、連れの腕の中でどっかで見たようなガキが暴れていた。
えーと、どこで見たっけ?
「ああ、起きたのか」
「当たり前だ! ったく、朝っぱらから大騒ぎしやがって。大体そいつ誰だっけ」
おれの質問に連れがトーヤだと答えた。
「私の大事なトーヤですよ」
「誰が"お前の"だ。ふざけんじゃねーっ!」
そうだ、思い出した。遠矢と一緒にいたあいつじゃないか。
なんでそいつがここにいんだよ?
「ああ。今朝地図を拡大してトーヤの寝顔を眺めていたら、なんだかふと手が届きそうな気がして、それで実際伸ばしてみたら指がトーヤに触れたんですよ。それで腕を掴んだまま手を引いたら、トーヤが地図から出てきたんです」
なんじゃそりゃ。
つか、て事は今遠矢は一人ってことか?
ヤバい。あいつ絶対泣いてる。
小さい頃両親に捨てられたトラウマで、置き去りにされる事に人一倍恐怖心を抱いているのに、こんな妙な場所でいきなり置いてきぼりにされたら、あいつまた変になるかもしれない。
ええい、どうしてくれよう?
おれはとりあえず荷物をひっつかむと地図を広げ、遠矢のいる場所を映し出すとその地図に飛び乗った。

こっちの世界へ来た時のような暗いトンネルを抜けると、丈の短い草の上に落ちた。
目の前には蹲った遠矢が、涙目を上げて驚いたようにこちらを見ていた。
「久し振りだな、遠矢」
そう言うとぱちくりとまばたきをし、「和也さん…本物ですか?」と聞いてきた。
そこでおれは遠矢に近づき、抱きしめてキスをすると「本物だろ?」と言ってみた。

「和也さん、和也さん、…会いたかったです」
おれに抱きついて言う遠矢を抱きしめ、背中をなでる。
「おれも会いたかったよ、遠矢」
そう言うと遠矢をおれから引っぺがし、こちらを向かせて改めて長い長いキスをした。
ああ、どうしよう。押し倒したい…。
「ああ、そうだ。トーヤって奴だけど…」
とりあえず気を紛らわせるために、話題を変えてみる。
「トーヤって奴、おれと入れ替わりで向こう…おれと一緒に旅してたやつのところにいるから」
「そうなんですか? でもどうやって。そう言えば和也さんもどうやってここへ来れたんですか?」
「それは地図をだなー」
と、遠矢の頬を撫でながら一通り説明してみた。
そう言えば地図の印は今どうなっているんだろう。そう思って遠矢が持っていた地図を広げてみると、おれ達が今いるところには白い点滅が。そしておれがさっきまでいた町の方向には、赤い矢印が点滅していた。
「えーと、ちょいといいかな?」
その時、どっかで聞いたような声が掛り、遠矢を抱きしめたまま振り向いてみた。するとそこには、
…猫?
そこには、真っ白い猫がちょこんと座っていた。

「まさか、普通の人間にあの地図が使えるとは思わなかった」
その猫は、このツアーの案内人だと名乗った。
「まあ、いわゆる『不測の事態』つーやつだな」
つまり、どこからともなく聞こえてきてたあの声の正体…なのか?
「そんな訳で予定外の場所での再会となった訳だが」
それならそれで聞きたい事は山のようにある。
「これからどうしたいかね? もしも旅を続けたいのなら…て、きーてるのかね?」
「え、何を?」
「『何を』じゃニャー!」

そんな訳で、おれ達はあいつらと再会するまでこの世界で旅を続けることにした。
あいつらもふたりで旅をしたいようだと案内人が言ってたし。
正直あいつらに再会したいとはあまり思わなかったが、遠矢はトーヤ(ああ、ややこしい)にまた会いたいようだった。
「だって、挨拶もしないで別れちゃいましたし」
いや、それはお前のせいじゃなくて、あの阿呆のせいだけど。
まあ、お前が会いたいと言うのならそれもいいかもしれない。
とりあえずおれ達は、矢印の指し示す方向へ歩き始めた。


相変わらず尻切れトンボな感じですが、終わりです。
ここまでご覧いただきありがとうございましたm(__)m




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